カットし終わった後も油断は禁物
そして、次の段階でやらないといけないのは剥離だ。そのとき、目的のものを切り出し、それを切り離した時にできるゴミをうまく処理する必要がある。この作業にはいくつもの罠が仕組まれている。そのひとつの例として、セパレータがビニルカッターの裏側に回り込んでしまった場合が挙げられる。これは、かなりストレスフルだ。ビニルカッターの裏側には通常圧力がかけられるように設計されているからだ。 だから、マスキングテープを使うんだ。そうすれば、作りたいパーツとセパレータを一緒に運ぶことができる。でも、君たちが欲しいのはパーツそのもので、最終的に最終的には裏面を転写したい。 そのためには、真っ直ぐにして粘着剤にかかる圧力をかけて、最終的に必要な裏面の状態になるようにするんだ。そのためには裏面の状態を適切に判断する必要がある。剥離工程についてだが、いい感じに剥離するには、作業中のモノを全部引っ張り出しちゃダメだ。一箇所をめくって手を水平に引きながら剥がしてみよう。もし、あるパーツが他のパーツにくっついてしまうと作業が難しくなる。本来剥がしたいパーツが剥がせなくなってしまうんだ。 復習だ。裏面を転写するには圧力をかけて、それから引き剥がす。これで、完成だ。もし、うまく切断できれば、手品かと思うほど美しく仕上がる。綺麗に剥がせる。必要な部分が残ったりしないんだ。
ビニルカッターを用いた製作例 ビニルカッターを使った、良い例を見てみよう。これはアクチュエータの講義をやった時の課題だったのだが、ビニルカッターの好例は「自分で羽ばたく鶴」だ。折り紙の鶴なのだが、これは自分の羽を羽ばたかせることができる。どうやったのか、少し説明してみよう。この鶴の作者は、折り紙に回路を搭載する必要があった。そして、それを基板に転写してフレキシブル回路にしなければならなかった。ビニルカッターを用いた愛らしい例だ。
図 FabAcademyの講義資料より
また、他の例をお見せしよう。これは出力デバイスの講義で、僕が作ったマトリクスディスプレイの例だ。一番下の基板に関しては次回お教えしよう。 僕はビニルカッターを使って、エポキシ樹脂を切断して窓の部分を作った。そして、またもやビニルカッターを使って他の層をトレースして作った。その後、トレースしたものを先ほどの層に取り付けた。こうする事で、ボトムレイヤーから積層された多層シートを作り上げることができるんだ。 実際に君たちには、この講座を通してビニルカッターを使う機会が多くある。でも、そのビニルカッターを扱うスキルはマシニングのスキルにも通じる。回路基板マシニングで作るプロセスを教える時も、やり方はだいたい一緒だ。少し違いがあるけれども、程度の問題だ。やり方をマスターしたら、これらは超絶柔軟、超絶多才なツールとへ豹変する。
(つづく)
講義の目次は【和訳版】FabAcademy 2016からご覧ください。
※この記事はFabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。