普通のジョイントと面取りジョイント
ちょっとAntimonyファイルを見てもらおう。ここにはジョイントが表現されている。最初のジョイントのタイプはこれだ。これを少し頭に置いて欲しい。最初のジョイントは単なるスロットだ。これを一緒にスライドさせてジョイントにする。でも、色んな点でひどいものだ。理由は、隣のジョイントを見てみると分かる。隣のジョイントには面取りがしてあるのが見えるだろうか。面取りは角を小さく取った形状だ。面取りは必要不可欠と言って良いだろう。
単なるジョイントと、面取りのあるジョイントを比較すると、面取りは2つの役割を果たしていることがわかる。ひとつめは、こうだ。もしも、ジョイント同士をズレた状態で組み合わせたとしても、面取りによって正しい位置に直すことができる。そして、2つ目に関してだ。ジョイント同士が、かっちり嵌り合わせるためにはには素材を少し圧縮させたいよね。面取りによって、きついスロット同士をはめ合うことが可能になる。その時に、素材は少し圧縮させる。面取りがなければ、ジョイント同士を組み合わせるのは難しい。面取りによってジョイント同士を組み立てるのがかなり簡単になるんだ。これは、単なるジョイントよりも良いジョイントの形状だ。面取りをつけたものは素材を圧縮していたためうまく機能する。そして、組み合わせたもの保持しているのは摩擦力だ。
爪のあるジョイント 3つ目のジョイントをお見せしよう。これには小さな爪が設けてある。これを正しい位置までスライドさせた時にカチッとはまる。これは、単に摩擦で保持しているだけじゃない。この小さなツメの構造で、引っ掛けている。だから、今まで見てきた形状のものよりもしっかりと固定できる。でも、このジョイントにも欠点がある。精密な構造を作るときの柔軟性は素材の硬さに依存する。
たわみのある爪をもつジョイント だから、次にお見せするスロットの構造は、さらに良いと言える。それはたわみのある爪だ。竿のようにたわむんだ。このジョイント同士を差し込むと、竿のような爪がたわんで望ましい場所でカチッとはまり込む。これはプラスチック製のベルトのバックルやリュックサックのクリップみたいなものだと思って欲しい。これは、今までのものよりもさらに良いジョイントだ。この構造のようにたわみのある爪を設ければ、より強いジョイントになる。
ピンのあるジョイント そして、最後にお見せするのは全ての中で最強のジョイントだ。ピンのあるジョイントだ。ジョイント同士をスライドさせて組み立てる時、単に差し込むのではなく、空間的に組み合わせる。そして、小さなピンで留める。ピンを通すことで、これは本当に強い構造のジョイントになる。
さあ、これでただのジョイントからより良いジョイントまで見てきたわけだ。単なるジョイント、面取りのあるジョイント、爪のあるジョイント、たわむ構造の爪のあるジョイント、そしてピンのあるジョイントだ。そして、これらはジョイントの作り方の全てだ。ジョイントをデザインする手順は大事だ。圧縮して固定したいならば、まずは面取りをつけることを考えた方がいい。そして、それでは強度不足であれば、摩擦だけではない固定方法を考えるんだ。より強いジョイントを作って安定した構造にするんだ。
(つづく)
講義の目次は【和訳版】FabAcademy 2016からご覧ください。
※この記事はFabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。