穴埋問題的回路基板設計法 さて、一旦話を戻そうか。今回の課題では、君たちには基板をデザインしてもらう。とは言っても、1から作る必要はない。そして、これは初心者には良いやり方だ。
●まずはプロセッサを見てみよう ここに、マイクロコントローラがある。 今お見せしているのはプロセッサだ。君たちにも基板のパッドの上に小さな突起が見えるだろう?そして、この突起はピンの方向を示している。 ●プルアップ抵抗の役割 ここには10KΩの抵抗器がある。 この写真を見てみると、突起部が写っているだろ?これは10KΩのプルアップ抵抗だ。これはプロセッサを作動させるために電圧を“Hi”にするという必須プロセスだ。 そして、そうしたければこれを“Low”にすることもできる。プログラミングすることによってね。 もう一度言うが、この抵抗は“Hi”状態にするためのもので、それによってプロセッサは作動する。でも、プログラマは、プログラムによってこの“Hi”の状態の電圧を“Low”に引き下げることができるんだ。 ●キャパシタはフィルタである そして、これはキャパシタだ。これは、ここにある部品なんだけれども、このキャパシタは局所的なエネルギーフィルタとして動作する。バイパスって呼ばれるものだ。 もしも、電源をどこかから供給するとなると、それはバッテリだったり安定化電源だったりするわけだけれども、この時、大抵は配線は長く、配線のインダクタンスは大きくなる。つまり、プロセッサが急に電流を必要としている場面でも、電流が供給されるまでに時間がかかってしまうんだ。 だから、キャパシタをプロセッサの隣に配置する。これには2つの役割がある。 1つは電荷を貯めておくこと。つまり、プロセッサがちょっと余分に電荷を必要としたときに、キャパシタはそれを供給することができる。 そして、もう一つの役割は、供給電源の電圧が乱高下した場合にフィルタとして機能することだ。 そして、君たちは0.1μFと10μFのキャパシタをよく目にすることになるだろう。なぜなら、それらは各々、周波数応答の異なる部品を扱うからだ。ボード上のキャパシタはフィルタとして機能する。これは、電源をフィルタリングする。 ●ケーブル類 こちら側にあるヘッダはFTDIケーブルと呼ばれるものだ。FTDIケーブルは片側が論理信号を発信し、反対側がUSBインターフェイスになっている。 数回後の講義ではプロセッサからUSBをダイレクトに配線する方法について話しするが、このケーブルを用いればショートカットになる。プロセッサが一連のオン・オフの信号を発信する箇所からショートカットでUSBに変換する。コストは10ドル程度だ。それほど高価ではないね。 君が入手したものによるが、このインターフェイスを使えばUSBポートから給電することができる。 ●CTS/RTS CTS/RTSは電流の流れをコントロールする。僕たちはこれを使うことはないだろうがね。 ●トランスミッタの役割
そして、これは トランスミッタだ。ホスト側からプロセッサにプロセスを送信したり、ホスト側に送信したりする。そうやって、ホスト側とプロセッサは相互に通信することができるんだ。 ●水晶振動子の役割 この部分に配置されている水晶振動子は時計の役割を果たす。プロセッサ内部にはクロックが搭載されている。しかし、それはあまり正確なものではない。水晶振動子はより正確で、プロセッサを高速に動作させることができる。 ●コネクタの役割はやっぱりコネクト そして、最後に、下側にあるヘッダについてだ。ここにあるのがコネクタだ。 今僕が手にしているのは商用のインサーキットプログラマだ。君たちは以前の課題で、自分自身のインサーキットプログラマを作ったね。 そして、君たちは配線して、そのプロセッサにプログラムをロードすることができる。 ●インサーキットプログラマに部品を加えよう (実物を見せながら)これがインサーキットプログラマだ。オーケー。では、これを見てみれば、PB2とPA7がフリーなのにお気づきだろう。プロセッサにはポートがある。 そして、これらは送受用だ。この基板には2つある。ポートA、ポートBが該当する。 そして、プロセッサのPB2とPBAはフリーだ。他にもあるけども、いずれにしても、さっき挙げた箇所はフリーだ。 そして、今回の講義で君たちがやらなくちゃいけないのは、プロセッサのフリーのピンを使って、抵抗器とLEDを接続し、グランドに繋げることだ。 そして、どちらかにはグランドに繋がるスイッチを設けてもらう。
●同じことをレイアウトで確認しよう この回路基板のレイアウトを見れば、下の方にある、この配線は、グランドだ。今回の課題をこなすには、君たちは接続を最小限に抑えて行う必要がある。
図. 回路基板のレイアウト図の例(echo hello-world)
君たちがこれから取り組むのは、ここにある僕の基板を、今から紹介するデザインツールを用いて再設計するってことだ。 そして、君たちには少なくともこの基板に2つのパーツを加えてもらう。君たちが自分が取り組むことについてよく知っているのであれば、さらに追加してもらって構わない。いずれにせよ、今回のゴールはそういうことなんだ。君たちは1から設計する必要はない。
図. 回路基板の例(echo hello-world)
(つづく) 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。