2つの制御方式 では、ここにモータがあるとしよう。前回、僕たちは機構を作製した。今回はモータを制御する。 分類としては2種類の装置制御法がある。そして、非常に急速に発展している。 オープンループ オープンループは装置に何をするべきかを命令し、装置がそれを実行することを期待する。 今お見せしているのは、標準的なShopBotだ。この大型の標準的なShopBotはだいたい15,000ドルのコストだ。 この装置の中には、ステッピングモータが内蔵されている。今、僕が手に持っているのは、標準的なNEMA規格のステッピングモータだ。 これにステップを与えると、これは与えた分のステップの分だけ回転する。 しかし、問題となるのは次のような場合だ。もしも、モータを速すぎる速度で動かしたり、過剰な負荷をかけた場合、脱調する。つまり、君たちが「モータの回転位置はここにある!」思っている位置から実際のモータの回転位置がズレてしまうってことだ。 脱調が起こった場合、完全なツールパスを作るためには、最初からやり直さなきゃならなくなる。 クローズドループ 次にお見せするのは、ShopBot Alphaだ。これを標準のものと比較してみよう。標準のものは150,000ドルで、Alphaは19,000ドルなので、4,000ドルの差により、クローズドループの制御が可能になる。 クローズドループでも、モータにステップを与えるのだけれども、モータの実際の回転位置がどこなのかも測定する。そして、制御システムを実行する。そうすることで、モータは君たちが与えたステップの数を基準とするのではなく、君たちが動かしたい回転位置を基準にして、その位置まで回転するようになる。
なので、もしもこのモータを早すぎる速度で動かしたり、過負荷をかけたりした場合に、意図した位置に到着するのは少し時間がかかってしまうだろう。しかし、実際に位置を測定することができる。 そういう訳で、(ShopBotの制御方法の違いによる)4,000ドルのチャージにおどろいたかもしれないけれども、モータをオープンループではなくクローズドループで使用することは普通のことだ。 しかも、制御ループのロジックに関しては1ドルのマイクロコントローラで組むことができる。1ドルのトランジスタは大電流を切り替えることができ、制御ループを行うのにははるかに安価にできる。産業用に用いるものに比べると比べ物にならないくらい安い。 だから、一般的にクローズドループはオープンループよりもずっとオススメだ。かなり簡単にクローズドループ制御を行うことができる。 もっとも、産業用には旧来の方法が用いられている。産業用の制御機器を手に入れようとしたらかなり高価なものになる。 まあ、そういうわけで、君たちが装置を組み立てる際には、全てのツールをははるかに簡単に用いることができる。そこにはセンシングやパワーエレクトロニクス、組込プロセスなどが含まれ、それらにより君たち独自のカスタムクローズドループ制コントローラを作るんだ。オープンループではなくてね。そうすることで、君たちの装置が正しく動作するようにして欲しい。 これが、オープンループとクローズドループの比較だ。君たちが何をするにせよ、クローズドループの方が好ましいだろう。
( つづく ) 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。