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Lesson10. 装置設計 §6. 古典制御理論超入門(オンオフ制御、PID制御、モデル予測制御)

古典制御理論超入門

よし、では次に制御について見て行こうか。 今、お見せしているWebページは僕が気に入っている古典制御理論の教科書だ。( Modern Control Theory /William L. Brogan著)制御理論は非常に広範にわたる理論だ。この広大な世界の入り口をご案内しよう。 僕たちはモータを用いる。そしてこのモータには何回分動くかというステップを入力することができる。 これを距離と時間のグラフで表す。最初の位置から最後の位置をプロットする。横軸は移動にかかった時間。そして、最初の位置から、最後の位置まで動かしたい、

明らかなことは、モータの電源を入れてステップを入力し始める必要があるということだ。 ここで問題となるのは、時間に対してモータに流れる電流値だ。​

もしも、単に電源を入れてモータは動かしはじめると惨事が引き起こされる。なぜならば、それは休止状態の装置にいきなり大きな負荷をかける事になるからだ。この大電流は何をする場合にでも発生する。そこには巨大な力が作用する。 これを避けるには緩やかなスロープ状にモータに流す電流をプロファイル上で増加させれば良い。

そして、定常状態に達すると、目的地にたどり着くいたとしよう。この状態から電源を切るときも、モータを単にオフにしないでほしい。なぜならば、いきなり電源を切ると大きな過度電流が発生し、停止するたびに装置全体にダメージが与えられるからだ。だから、プロファイルを目的地に着陸させるようにするんだ。

最短時間で、加速度を最小に、電流を最小にするという全てがトレードオフの関係になっているシステムを制御するために、入力をどのように与えるかということは、非常に広範にわたる分野だ。 ●『bang-bang』 で、最もシンプルな類のコントローラは『bang-bang』もしくはオンオフと呼ばれるものだ。概念としては、もしも差異を測定するのであれば、まず、君たちにはこうしたいって言う入力値があるよね。そして、もう1つの入力値は、君たちの装置がまさに今どこにいるかだ。 でもって、君たちは君たちがやりたいことと、君たちが得られるアウトプットの差異を測定するんだ。その値が正なのか負なのかは、君たちの実際の位置と君たちが行かせたい場所に基づいている。(図) 『bang-bang』コントローラってのは、単にずっとオンか、ずっとオフなんだ。オプションのヒーターなんかがこう言う制御になっている。 これは制御方法としては酷いものだ。なぜならば、大量の過度電流が発生するからだ。それにより、通信障害が頻繁に引き起こされる。周囲のシステムを突然切断しまうんだ。 それよりも、ちょいとマシなのは、次のようなアナログな制御方法だ。 ●比例制御(P制御) 比例制御では、単にスイッチを切り替えるだけではなく、実際に目標値と実測値の差異を測定する。そうすることで、 OUT=A(want - now) という式が得られる。アウトプットは目標値と実測値の差に係数をかけたものに等しくなる。 つまり、君たちはアウトプットを出力する。これは差異を埋めるためのものだ。すなわち、この考え方はこういうことを意味する。 最初にスイッチをオンにしたときに問題が生じる。なぜならば、電源を入れたとき電流は過剰だからだ。しかし、その後徐々に目標値に近づいてくる。傾きが緩くなりながら目標値に近づくんだ。つまり、フィードバックを与えているってことだ。 これが、比例制御だ。このとき、君たちは目標値と実測値の差に係数をかけた値を測定する。 これもまた、モータがステージを動かすのにも使うことができるし、温度計付きのヒータにも使うことができる。流量計付きのバルブにも用いられるし、色んなバージョンの比例制御が可能だ。 しかし、比例制御にもいくつか問題がある。そのひとつとして、比例制御において出力値は決してゼロにはならないということが挙げられる。なぜならば、君たちはシステムを動かすためには、いつだって誤差項を設けておく必要があるからだ。 ●PID制御 そう言うわけで、比例制御を超える制御方法はPIDと呼ばれる方法だ。これは比例制御に、積分項と微分項を加えたものだ、 これにより、君たちが欲しいシグナルを扱うとき、比例項は目標値と実測値の差を測定し、微分項は変化率を測定する。そして、 君たちはこれを足し合わせる。微分項によってシステムに急激な変化を起こさせないようにする事ができるのだ。どれだけ速く変化することができるかに制限を加えるんだ。微分項を用いた場合の高速な変化は変化率のフィードバックによるものだ。 一方、積分項は、誤差を全て足し合わせる。そして、全体の誤差を足し合わせることで、基準線を作り出す。これにより、誤差はゼロにすることができるのだ。

制御装置は3つの項目を持つ。つまり誤差項、微分項、そして積分項だ。誤差項はコントローラをゴールまで導く。微分項はどれだけ速く変化できるかを制限する。積分項では基準線を作り出す。 これは、これまで用いられてきた制御方法の中で最も一般的な類の制御論理だ。 ちなみにPID制御を行うモジュールを購入することもできるよ。 アナログ回路を用いても実行できるし、ソフトウェアを用いても実行できる。 君たちはちょっとしたプログラムを書いて、PID、それぞれの項の実行をマイクロプロセッサにさせることができるんだ。そして、この制御に用いられている数値を理解するんだ。 装置というのは、大抵はミリ秒の単位で動作する。対して、プロセッサはメガヘルツのオーダーで動作している。そのため、プロセッサは装置を動かす1ステップの間に何千回もの演算を行うことができるんだ。だから、比例、微分、積分の各項を計算するための時間がたっぷりとある。 商用のPIDコントローラを製品として購入することもできるんだけれども、君たちが使っているマイクロコントローラで実行することができるから、独立したPID用のモジュールを購入する必要はないけれどもね。

●モデル予測制御 PIDよりも高度な制御方法は、モデル予測制御と呼ばれる広範にわたる分野だ。 PID制御では比例項、積分項、微分項の増幅値を把握しておく必要があった。一方、モデル予測制御では、実際に装置のモデルを作成して、制御を行うためにそのモデルを使う。そうすることで、装置を制御するにあたってのプロファイルを正確に一致させるんだ。 そして、これは非常に複雑な分野だ。もしも、制御理論の参考文献を読めば君たちはこの制御方法を学ぶことができる。モデル予測に関して学ぶことは、この講座のカバー範囲を超越してしまう。 ●総括 しかし、制御について知っておくべき重要なことは、もう一度言うが、これはシンプルで、急なオンオフを行わないことだ。そのための標準的な方法はPIDなんだ。そして、PIDその先には数多くの方法を学ぶことができる。 つづく 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。

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