拡張されたジャカード職機のワークフロー ジャカード職機に適用されたワークフローは、今やあらゆる装置に応用されている。でも、「この方法って、実はすげーポテンシャルあるんじゃね?」と気がついたのはFederico Manabrea(第7代イタリア首相!)だった。それまで、彼はジャカード職機特有の手法だと思われていたパンチカード方式を計算機に応用したのだ。彼がパンチカードがプログラムであるという捉え方をしていたのこどうか、僕には分からないのだけれども、少なくとも彼はジャカード職機の手法を拡張することに成功した。そして、今やこのワークフローはありとあらゆる装置に適用されている。マシニングセンタだってそうだし、DNAシーケンサも例外ではない。 コルヌコピア(豊穣の角: 富を産み出す機械)も例外ではない。コルヌコピアを概念ではなく、実在する装置として成り立たせるためには、実際的な装置がどのように動くのかということを深く理解しておく必要がある。 だからこそ、僕はGestaltフレームワークについて詳しく見て行っているわけだ。Gestaltはあらゆる装置を制御するための仮想マシンフレームワークなのだから、コルヌコピアを実現するために必要な知識なのだ。 一般化したワークフロー (以下引用) 「設計→コンパイル→実行」というワークフローの価値を最初に確認したのはCharles Babbageだった。現在、僕たちは一般的にその存在を認識している。それはまさにコンピュータだ。 Charles Babbageの分析エンジン、つまり、世界初のコンピュータは、おそらく1842年にFederico Manabreaによって発表された論文ではじめてこの世に現れた(Essinger、2004、P.122)。ジャカード織機のように、それはパンチカードから命令を読み込んだ。そして、それは結果を格納して、アクセスすることを含む一連の数学的操作を実行するようにその機械に命じたのだ。 実際、分析エンジンとJacqurd織機の関係は、James Essingerの著書「Jacquard's Web」の核心となるものだ。 Babbageは、彼の分析エンジンを、そのプログラムによって伝えられた指示に従って数式を計算するための完全に一般的なツールとして説明している(Essinger、2004、P.89)。Babbageは、ジャカード織機で見られたように、設計、コンパイル、実行のプロセスが本質であると記している。 数式を評価するためのアルゴリズム(「デザイン」)は、分析エンジンがその電気機械的ハードウェア内で実行できる一連の命令にコンパイルする必要がある。 Babbageの分析エンジンは完成することはなかったが、それは間違いなく現代のコンピューターのための知的基盤を築いた。 1952年までコンピュータは製造機械と別々の歴史を歩み、再び邂逅した。その年、John ParsonsとBell Aircraft、そしてMITサーボメカニズム研究所が最初の数値制御(NC)フライス盤を製造したのだ(Noble、1978年、P.326)。 伝統的なフライス盤では、塊状の材料が移動テーブルに固定され、訓練を受けた機械工による操作のもと、機械によって回転しているブレードにより削られる。ブレードの経路内にある材料は、所望の形状が達成されるまで除去される。ジャカード織機が製織のためにしたのと同じように、機械加工のための数値制御が行われた。分析エンジンやその前のジャカード織機のような数値制御のワークフローは、設計→コンパイル→実行というパラダイムに従う。オブジェクトは仮想的に設計され、オブジェクトのフォームを作成するためのツールモーションが生成され、最後にこれらの動作がマシン上で実行されて物理的なオブジェクトを製作するのだ。 現在、数値制御は製造業に普及し、設計者と彼らの仮想オブジェクトを彼らの設計の物理的表現に結び付ける全デジタルワークフローの末端で動作する。以来、NCは、この技術が最初に開発された垂直フライス盤以外にも、より多くのツールやプロセスに適用されてきた。例としては、旋盤、中ぐり盤、研削盤、タレットパンチ、ウォータージェットカッター、レーザーカッター、3Dプリンター、溶接ロボット、編機、実験室用ロボット、DNAシーケンサーなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 (つづく) 引用:自動化ツールの仮装装置制御のためのゲジュタルトフレームワーク(Ilan Moyer)
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