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「知っている」を管理する

ahedgehogchase

◉ナレッジマネジメント、もしくはKM

 もし、僕たちがビジネスの目的のために、知的資産を共有し、効果的に活用するにはどんな方法があるだろうか。そんな「知の管理手法」について考えてみたいと思う。

 僕たちが働くとき、いろいろな知識を得ることができる。一般的に知られていることを改めて知るというようなこともあるだろうし、誰も知らないようなことに気付いてしまうことも、あるいはあるかもしれない。そんな知識を自分たちの組織のために活かすには、それらを一元管理し、互いに情報交換を円滑にするのが良いだろう。そんな手法のことをナレッジマネジメントと呼ぶ。

 ところで、知識というものは言葉には限られない。ものごとを言葉に落とし込むということは一見簡単なようで、そうではない。たとえば緑という言葉を緑という色を知らない人に伝えることは難しい。緑という色を見たことのない人に、緑というものを伝えるには実際の緑という色を見てもらうのが一番確実な方法だ。また、人間は(人間に限ったことではないが)言葉やイメージだけではなく様々な感覚を感じ取りながら生きている。手触り、力の入れ具合、匂い、音。僕たちは感覚の色彩に彩られた世界に生きているのだ。だから、それを言葉というひとつの色に落とし込むことがどれだけ難しいことか想像に難くない。

 だから、ナレッジマネジメントについて考えるとき、僕たちは言葉として落とし込まれた形式知だけではなく、言葉や文章では表現しにくいノウハウやスキルなどの暗黙知も含まれなければならない。人は歳をとり、多くの経験をすることで、より多くの知識を得る。そしてその中には言葉には落とし込められていない暗黙知がかなりの割合で存在するのだ。熟練の職人というのは、言葉にならない知識を体に染み込ませているようなものだ。だから、その技術を習得するのに10年以上の歳月が必要だと言われていたのにも納得出来る。ベテランの技術者が退職してしまい、経験の浅い若手の技術者が誤った判断をしてしまいトラブルに発展するというようなことも起こっているようだ。

 このような暗黙知を円滑に次の世代に伝承するためにも、ナレッジマネジメントは注目を浴びているのだ。

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