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羅針盤の精度を高める

ahedgehogchase

◉フロントローディングとQFD②

2.実効性確保のために

 確実に目的地にたどり着くにはどうすればよいだろうか?気をつけなければならないポイントの1つは、顧客のニーズを的確に技術的課題に正確に変換することだ。そのためには、顧客は一体何を欲しているのかを出来るだけ具体的に把握することが肝要だ。けれども顧客のニーズというものは、得てして抽象的なものだ。たとえば、誰かが「いつでもみんなと繋がっていたい」と言うのを聞いて、僕が「パーティーに行けば良いんだよ」なんて言ったとしても、それはきっと的外れなことだある可能性は高い。パーティーでみんなと繋がることはできるかもしれないが、パーティーなんてしょっちゅうあるものではないし、そういう雰囲気はあまり得意でないという人も少なからずいるだろう。

 そんなわけで、ぼんやりとしたニーズは、より具体的に捉えなければならない。つまり、製品の機能に置き換えたり、要求の程度に落とし込んだりし細分化してやる必要があるのだ。こうすることで具体的な要求内容を顕在化させることができる。

 先ほどの例で言えば、「遠く離れた友人が今どのように過ごしているのかを知りたい」とか「今日のパーティーはみんなも楽しかったかな」という他愛のないことを知りたい、という要求に細分化されるかもしれない。別に直に会わなくても良いのかもしれない。ウェブ上で様子が確認できるだけでもいいだろう。僕が話しかけたら、返事してくれる。コミュニケーションが取れる状態であればそれだけでも良い。でも、話しかけたら、それは相手に通知してほしい。その言葉を受け取ったなら僕に知らせてほしい。そしてどう感じ取ったのか教えてほしい。そんな小さな要求を数えていくのだ。こうやって、細分化した要求を要求品質という。

 でも、挙げるだけではまだまだ漠然としているかもしれない。もっと分かりやすく可視化できないだろうか?そんな疑問に答える便利なツールが品質表だ。品質表を用いれば、要求品質と技術的課題の対応状況が一目瞭然となる。

(品質表後日挿入予定)

 さらに要求の優先順位も確認できるので一石二鳥だ。これは設計目標設定をする上でも有用だ。

3.三本の矢はもっと重ねればさらに折れにくい

 製品品質をより高くするための智慧は、できるだけ色々な人の意見を聞いて知ることだ。必ずしも取り入れる必要がある訳ではないが、知ることは何よりも大切だ。そのプロジェクトに関わる全ての人に、意見を求める場があれば、様々な立場から要求品質を検討することができる。

 このような場は、デザインレビュー(DR)と呼ばれる。このような場で、設計の意図をメンバー内で確実に共有することが大事だ。ここでは、バリューチェーンの上流から下流まで、プロジェクトに関わる様々な人たちが参加するため、顧客のニーズの変化に対しても敏感に反応できる。このようなフィードバックを通じて、市場が求めている製品をいち早くリリースすることができるようになるのだ。

 僕たちは羅針盤を手に入れた。まだまだ海図の全容はまだわからないかもしれない。けれども、目的地は見えているはずだ。

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