◉インバース・マニュファクチュアリング
地球から離れてみる。
地球の小ささを実感するには、月に行くだけで十分だろう。真っ暗な闇に浮かぶ青い小さな星がこの宇宙で特別な場所だったのだということを改めて教えてくれるはずだ。
そして火星を越え、太陽系の外側に向けて進んで行くと、いかに宇宙が荒涼とした場所なのかを思い知るのだ。
そんな地球を僕たちは浪費してしまったという主張がされるようになったのは、今に始まったことではなく、何十年も前から言われていることだ。
地球の資源を利用して、僕たちは経済活動を行い、それによって生きて行くことができる。ものづくりは、設計された製品を、資源を利用して生産し、販売するプロセスだ。ユーザーはそれを購入し、使用する。やがて製品は寿命を迎え、廃棄される。この一連の流れが、製品は人生を終える。
と、思われていたが、人類は考え方をアップデートした。廃棄について、もっと良く考えてみたのだ。役割を終えた製品を回収し、分解したのち、部品を選別ひて再利用するという考え方が次第に広まっていった。
そして、製品を設計・製造する際にも、回収・分解・選別・再利用のことも考慮するという考え方が生まれた。これを、インバース・マニュファクチュアリング、あるいは「逆工場」と呼ばれることもある。
リサイクルされるという前提の上で設計が行われるので、部品のリユースと原材料のリサイクルが効率的に実施できる。つまり、分解や分別が行いやすいように設計するのだ。こういう基準で見ると板金と樹脂のはめ殺しみたいな設計は、あまりよろしくないのではないだろうか。
そんな事を考えながらものをつくっていくことが、遠い未来に僕たちの子孫の世代にも生命の星、地球を残していくことにつながるのだ。