◉FTA(故障の木解析)
大いなる力には大いなる責任がともなう。という言葉はスパイダーマンだったか。
何を「大いなる」と呼ぶかは人によって違うかもしれない。でも、大勢の人に自分のつくったものを届けることは、大いなる力のひとつだと僕は思う。その力を使うにあたっては、それを使う人を傷つけないこと、そして惚れを使うひとが満足するような性能を持たせることの、ふたつが大いなる責任と言えるだろう。このふたつの中でも、絶対に守らなければならないのは安全性だ。では、安全性を確保するにはどうすれば良いのだろうか。次のような方法はどうだろうか。
致命的な事故やトラブルは避けなければならない。このような事故をトップ事象とし、その原因となり得る故障状態を列挙して、その因果関係を論理記号で書き記す。そしてそこに防御手段を書き加えていくのだ。そうしていくことでフォールトツリーが作成されていき、それをもとにどのような対策を打つべきなのかが見えてくる。この手法をFTA(故障の木解析) とよぶ。この方法で作成された図はまるで魚の骨のように見える。
ここで、少し立ち止まって考えてみよう。FTAという立派な手法があるのであれば、「もしも、虹がなくなったら」で取り上げたFMEAは意味がないのだろうか。いや、そうではない。FMEAとFTAでは解析の手順が逆で、どちらも必要なのだ。
FMEAが故障モードから考えていくボトムアップの解析方法であるのに対して、FTAは防止したい事故から掘り下げていくトップダウンの解析方法だ。このふたつは考え方のベクトルが逆向きなので、両方の解析を実施することで解析の精度が上がるだろう。これらは相互補完的な手法なのだ。大いなる責任を果たすためにも、僕たちもこのふたつの手法を取り入れていこう。