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智慧の書は読めずとも使える

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◉知識ベースシステム

知識ベースシステム

 僕たちは何を知り、何を学んだのか。それを共有し、仲間たちに伝える。仲間たちもまた、それに答えて自らの経験を書き記す。そういった情報が幾重にも重なり、生み出されたものが知識となる。知識を扱うということは大変なことだ。それは深い海のようなもので、僕たちは全てを見渡すことができない。けれども、僕たちは夢を見る。全ての知識を手の内に入れたいと。そんなこと、実現できっこないと誰もが思っていた。コンピュータが発達し、インターネットが張り巡らされた世界が出現するまでは。そう、僕たちはもうそんな時代に来てしまったのだ。現にGoogleが目指すものは「世の中のあらゆる情報を整理する」ことだ。この野望はまだ達成されていないが、彼らはそれを手にする日が来るのかもしれない。

 もし、彼らがその目標を達成することができなかったならば、秘密にされた情報があるということだ。秘密というものはあらゆるところにある。多くの人が自分のプライベートな部分については、公にしたくないだろう。公の存在である企業での、その中にある情報はたいてい外に出してはいけない情報だ。社外秘、マル秘、極秘などいろいろな秘密がここにはある。

 だから、その組織に属していても活用されない知識はあるだろうし、それはそれで良いのだ。でも、だからと言って、その情報が整理されていなくてもいいということにはならない。あらゆる階層の情報が、使われるべきところで有効に活用できることこそが、経営者の望むところだろう。知識は力だ。それを使わずして、強い組織を作ることはできないのだ。組織の中でも情報を整理して使いやすくする必要があるのだ。

 その時に役に立つのが、知識ベースシステムだ。組織内に散らばるあらゆる知識を結集したシステム。かつて、コンピュータの処理能力がまだそれほど早くなかった時代には、そのシステムの重要性はなかなか広く認識されていなかったようだ。しかし、飛躍的にIT技術が進歩した21世紀においては、その重要性は以前より増している。

 これまで、何度か形式知だの暗黙知だのそんな話をしたことがあるが、形式知化された情報をどんどんコンピュータに放り込んでいくのだ。そして、必要な時にそれが検索され、容易に活用できるシステムにしたものを知識ベースシステムというのだ。

 知識は人間が読み取れるものとは限らない。たとえば、職人の技をロボットにさせるプログラムも知識と言える。知識は活用できる状態であれば、どんな形でも良い。たとえ人間に理解できない状態であったとしても良いのだ。

 そういうわけで色々な知識を使いこなすためのツール、知識ベースシステムをぜひとも取り入れてはいかがだろうか。

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