智慧を出し合うことの大切さには今まで何度も触れてきたが、それを円滑にすすめるには工夫が必要だ。もし、君の組織がそれほど大きくないのであれば問題はないと思うかもしれない。でも、それは君の組織だけにとどまる問題ではないということを認識してほしい。たとえば君たちが開発と設計をさに注力する形態だとすれば、生産は外注することになるだろう。でも、実際に生産する現場と緊密に連携しなければ、タイムツーマーケットの短縮やよりたかいれべるのQCDSEを達成できない。
そして、その工夫とは時空の固定概念を打ち破ることにほかならない。つまり、①時間軸と②空間軸について工夫をするということだ。
時間軸
まず、時間軸についてだが、いくらコンカレントエンジニアリングという名称がついているからといって並列化一辺倒というのはよくない。というよりそれはかなり難しいはずだ。順番が来ないと進められない業務もあるわけで、そこは柔軟に対処すべきところだろう。重要なのはどこを重点的に並列化させるかを計画し、確実に成し遂げることだ。よくある組み合わせは、製品開発と生産技術開発の並列化だ。これはフロントローディングとアーリーソーシングで対応できる。
空間軸
次に、空間軸について話そう。人の集まる場所というのは技術を磨く上でも大切な要素の1つだ。シリコンバレーを見てみれば、さほど大きくないエリアに世界に名だたる企業が密集しているのがわかるだろう。人が集まる場所には智慧が集まる。いくら通信技術が発達してきたからといっても、今の所は直接会って話するときの情報量は、電話やメール、ビデオ通話の比にはならない。
そして君のアイディアを実現させるにはやはり三現主義は無視できない。開発や生産の現場で現物がどのように設計されたり製造されているのかをこまめに知らなければならない。加えてどのような問題があるのかという現実を直視することも欠かせない。これらを常に確認するには、その場所をひとつにまとめてしまうのが一番効率がいい。
だから、生産技術者を研究所に駐在させてフロントローディングに参加させたり、開発担当者を工場に駐在させてアーリーソーシングに参加させたりと、プロジェクトを遂行しやすいように人員を配置させることが重要なのだ。
組織が小さい場合でも、バリューチェーンの他の鎖の場所に入り込んで一緒にプロジェクトを進めていくのは効率的だと思う。社内で行うのに比べて、ハードルは高いと思うがチャレンジしてみる価値はあると思う。また、緊密な情報を共有を進めるためのプロジェクト室を設けるのも効果的だ。大部屋にみんな詰め込んで、一緒に突き進んでいくことができれば言うことはない。