ここまでやってきたことをもう一度確認しよう。君たちが君自身の製品を開発するうえで大事なことはふたつ。ひとつめは、重点取り組み課題を明らかにすること。そしてふたつめは最適な手法を選択することだ。その結果、コンカレントエンジニアリングを行うのであれば、次に為すべきことは、製品コンセプトを明確に定義することだ。
君たちのプロダクトを他社と比較したときの具体的な目標値を設定するのだ。このとき、部品や材料単位に細分化して考えると良い。そうすれば、具体性が増して、君の仲間たちは同じ方向を向くことができる。こうやって細分化して明確になった製品コンセプトを製品企画書に落とし込もう。これで、新製品の使用などが明らかになってくるだろう。
他の仲間たちにも同じように企画書を作ってもらおう。生産技術を担当しているメンバーがいれば、製品構造を現実化するための技術開発だけでなく、もっと踏み込んだ提案をしてもらいたい新しい材料や加工法など原材料や新しい生産システムを提案し、それが実際に使えるか研究を進めるための「生産技術研究計画書」を策定する。これに基づいて新しい方法の可能性を探っていくのだ。
同じように品質保証部門では「品質保証計画書」を策定して、君たちの製品に対してどのように品質や信頼性を保持する施策を講じるのか決定する。
製造部門では「製造計画書」を策定し、君の製品コンセプトに合致した設備やユーティリティを導入する計画を立て、人員の配置に対しても計画を立案する。
営業部門でも「営業販売計画書」を作成し、製品コンセプトを顧客に訴求し、利益を確実に得られるよう計画を練る。
最後にサポート、保守部門でも「サポート計画書」の作成を実施する。ここには保守・点検法の標準化や、修理方法の標準化などの案を記載する。
ここではバリューチェーンにある色々な役割それぞれに対して、製品コンセプトに基づいた基本計画書を作成するということについて書いた。計画書はただ作成すれば良いというものではない。製品コンセプトに基づいて、という部分が大事なのだ。何度も言うが、コンカレントエンジニアリングでは、多岐にわたる要素全体を押し上げる戦略的な取り組みなので、目的地の確認は何よりも大事だ。だから、具体的な計画に君の理想を閉じ込めなければならない。これなくしては、コンカレントエンジニアリングの達成は不可能だ。そこをゆめゆめ忘れぬよう取り組んでもらいたい。