◉製品企画書策定のポイント
基本思想を共有し、フロントローディングやアーリーソーシングを進める。これがコンカレントエンジニアリングの大まかな姿だ。そして、それぞれの役割を持った人々が、基本思想や製品コンセプトを強く意識することができるように企画書をはじめとした計画書を作成することはすでにお話しした通りだ。では、具体的にどのような企画書を作れば良いのか見ていきたい。
ここでするべきことは、重点取り組み課題と製品コンセプトを、各バリューチェーンの要素に具体的な目標値を設定することだ。これは可能な限り細分化してやり、各担当のメンバーが取り組みやすいようにする必要がある。
また、トレードオフになる要素については優先順位を明確にすることが必要だ。何を差し置いても、圧倒的なスペックと品質を目指すのであれば、コストは犠牲になってしまう。だが、これでいいのだ。ここは譲れないという点を明確になってさえいれば問題はない。そして思想によってはその逆が選択されることもそれはまた正しい。目的に合ってさえいれば手段は何でも構わないのだ。いずれにせよここで優先順位を明確にすることが大切だ。そして責任者の承認をもって、組織全体のコンセンサスとすることだ。
ここまで取り組み目標の優先順位が決定できれば、次にするべきことは組織体制と日程計画を策定することだ。これで必要なリソースが明確になるだろう。これらの事項を明らかにし、それらのリソースをコントロールできる責任者の承認が得られれば、製品企画書は完成だ。
ここで強調しておきたいことは、この方法で企画書を作ることが重要なわけではないということだ。企画書なんていうのはただの紙切れで、それ自体に特に価値はない。重要なのは、この企画書を用いることで、君たちの仲間が一致団結して目的に向かう手助けをすることができるということだ。だから、これをルール化して使用するという場合でも、その根本にある情熱を忘れないでほしい。