組織の外の知識を活用すべきかという問いに対しては、「それはケースバイケースだ」と答えるようにしている。最も優秀な人材は社外にいる、という言葉もあるので、社外の人材にアプローチすることは有効な手段だ。でも、文化の折り合いが悪かったり、組織内の調整が大変だったりする。だからそのメリットとデメリットをよく比較したうえで、社外のリソースを使うかどうかを考えなければならない。
そして、その決断は早ければ早いほうがいい。ある程度プロジェクトが進んでからでは調整が不可能な場合もあるからだ。
まず、何のために社外のリソースを利用しようとしているのか考えなければならない。製品が欲しいのか。特許という具体的な技術が欲しいのか。それとも、優秀な人材による開発部隊の力を借りたいのか。場合によってはお金であっさり解決することもあるだろう。
だが、共同開発などになってくると、どう成果を分けていくのかまで考えなければならない。特許はどのように出願するのか。その費用はどう分担するのか。決めるべきことは多岐にわたる。win-winの関係ということばがあるが、他の組織と共にプロジェクトを進めるために何かを決定るす場合、この言葉なしには話が進まないはずだ。何をどう分担し、分配するのかを取り決めて明確にするのが契約書だ。秘密保持契約を締結し、法務担当者、知財担当者と共に、協業先と具体的な話をしていかなければならない。これはなかなかハードな業務だ。だから、君たちのプロジェクトにとってどの程度、他社の力が必要なのかは予めよく考えておかなければならない。そしてその結果、君が自分たち以外の力に頼ろうと決めたのであれば、そのパートナーは君の同志となる。仲間が増えたことを喜びつつ一歩ずつ目的地へ歩んでいこう。