コンカレントエンジニアリングを採用すべきかどうかを議論することは重要だ。このことは今までも何回か取り上げてきた。なぜ、これほどまでに繰り返すのかというと、コンカレントエンジニアリングを選択することは生半可な覚悟ではできないからだ。
たとえばフロントローディングという開発工程に負荷をかける手法があるが、これはそういう過程があるという覚悟がないと中途半端なものに終わってしまう。そんなことで途中でコンカレントエンジニアリングを放棄するくらいなら、取り組まなければ良かったと思うかもしれない。
コンカレントエンジニアリングは業務革新だ。大きな痛みを伴う。また、コンカレントエンジニアリングの仕組みを円滑化するためのITツールの導入にも大きな投資判断をしなければならない。これらを理解した上でなければこの手法の選択は行うべきでない。
また、コンカレントエンジニアリングを選択したのならば、気になることは、この手法が上手くいっているのかということだろう。これは、予め数値目標を定量的に設定しておけば、プロジェクトの途中で評価が可能になる。この方法をメトリクスの導入という。プロジェクトの随所に設定されているイベントごとに、この数値を見直し、最終的にコンカレントエンジニアリングによる効果があったのかどうかを見極めることができるだろう。
そして、開発した技術を標準化して資産として活用することが重要だ。パラレルに技術開発して、採用されなかったものを棚入れすることも大事だ。上手くいかなかった経験も確実に資産として蓄積していく。これはコンカレントエンジニアリングに限ったことではないが、この段階まで業務を進めていくことが、組織の力になっていく。最後まで気を緩めずに取り組んでほしい。