◉コンカレントエンジニアリングのマネジメント
智慧を集結させ、パラレルに技術開発を行う手法は、開発部隊への負荷が著しくなるためフロントローディングと呼ばれている。この手法に関しては、すでに何度か触れている。このような痛みを伴うものの、フロントローディングを行なった場合には、設計変更が少なくなるというメリットが、得られる。
だが、これはマネジメントが適正に行われてはじめて発揮できる効果だ。大事なのは、何が目的かを見失わないことだ。コスト削減がタイムツーマーケットよりも、優先されるのであれば、時間をかけてでもそれを達成すべきた。つまり、優先度を見極めて、マネジメントを行わなければならないのだ。だから、もしタイムツーマーケットの短縮が至上命題であれば、時間が最も優先されなければならない。
どのような目標を掲げるにしても、QCDSEの高い目標を達成するためにフロントローディングを実施する期間は極めて重要だ。そして、この期間で特に重要な役割を担うのは生産技術者だ。
ひとつめの役割はフロントローディングによる設計者への指摘、もしくは実際に開発部隊に加わる場合の戦力としての役割だ。設計者の意図を汲み取り、それを実現させるための方法を提案したり、設計者の意図を実現させつつ生産に有利な形状を提案するなど、設計現場でも重い役割を担うことになるだろう。
そして、もうひとつの大きな役割はアーリーソーシングを推進する役割だ。同じ人物がどちらの役割もこなすという場合もあるかもしれないだろう。だが、大抵は生産部門で分担を割り振って、これらや役割を担っていくことになるだろう。それは組織のリソースを鑑みて考えてほしい。
こうして見てみると、コンカレントエンジニアリングやフロントローディングは智慧の集結だということを改めて感じるだろう。様々な専門知識を融合させて新たな高みを目指そう。