◉試作、量産 一貫活動
君がもし、タイムツーマーケット短縮を目標にするならば、工程の垂直立ち上げを行うことは必須だ。こうやって短い期間で立ち上げを行うにしても、量産を行うまでに、普通は少なくとも一回、君には試作するチャンスがある。というか試作なしに量産ができるはずがない。試作は量産で起こるであろう問題点を洗い出すための重要な機会だ。このチャンスを逃す手はない。アスリートの言葉だと思うが、「本番のように練習を行い、練習のように本番を行う」という言葉を聞いたことがある。これはものづくりにも適用できる考え方だ。量産のつもりで試作する。そして、試作でうまく行ったコンディションを維持して量産に向かうのだ。
つまり、君は試作の時点で量産用の環境、材料、設備、加工法、人員を想定して実際に配置する必要がある。そして、試作した製品の品質情報を記録する。層別に管理図を用いて、QC的手法をフルに活用するのだ。これは日本の製造業のお家芸だ。こうやって、量産時に問題となりそうな点を洗い出すのだ。
例えば、量産金型の合わせこみは、かなり難易度が高い。だから、最初の試作から量産型を用い、都度修正しながら使っていく。こうすることで量産までに問題を潰していくことができるのだ。試作には、量産経験の豊富な人に参加してもらうのが良い。量産経験の豊富な人は、ひとつの異常点も見逃さない。経験が浅い人間なら見逃してしまうような小さな異変を彼らは発見してくれるのだ。その智慧に学ぼう。それが折重なり、品質の高い製品を生産するための秘密のレシピが出来上がるのだ。