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自分の意思で動けば良い

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 自律性、専門性、そして目的意識。この三つを兼ね備えた人材を集めることができれば、その組織はエネルギーに満ちた組織となるだろう。バリューチェーンのいかなる役割を担うにしても、この三つの要素は重要だ。

 例えば製造部門ではどうだろうか。製造部門というと、誰かに決められた工程で、誰かに決められた手順で仕事を進めていかないといけないようなイメージがあるだろう。このような進め方であれば、作業を行うメンバーは多かれ少なかれ「やらされ感」の中、業務を遂行することになるだろう。でも、製造部門が製品設計に関わるようになってくるとこの感覚はなくなる。自分が取り組んだ結果が、工程に活きてくるからだ。「やらされ感」がなくなれば、そのメンバーのモチベーションが上がる。生産性も向上する。メンバーにとっても組織にとってもwin-winな関係が出来上がるのだ。こんないい話はないのではないだろうか。

 日本の製造業で、QC活動が活発なのもこの部門。製品の品質を向上させながら、現場の士気を上げる。こういうプラスの循環が功を奏して、強い組織は形作られてきたのだろう。

 だから、もっと製造部門の力を存分に発揮してもらうのが一番良い。どうすれば、より良く製造できるのか。それを、製造部門で深く掘り下げて考えていくのだ。

 一般論だが、製造部門長は経営環境の変化に敏感なものだ。経営が悪化すれば在庫圧縮のために奔走し、景気がよければチャンスを逃さぬようフル生産できる態勢になるようベストを尽くす。いかに組織に貢献するかを常に考えているものだ。だから製造部門が、技術部門の動きに遅れをとることはない。さらに言えば、製造部門には先行技術開発へのモチベーションがあるはずだ。どうすればより低コストで品質の高い製品を生み出す工程にできるか。それを考える強い意志があるのだ。

 製造部門での先行技術開発は技術部門のロードマップを参考にすると良いだろう。そこに答えは書いてある。なぜなら、そのロードマップは中期計画から導き出されたものであるはずどからだ。基本思想はそこにある。そして、長い時間軸で見た場合でも、変わらない共通技術が取り組むべき技術の候補だ。加工技術の高速化、高精度化、低コスト化、省エネ化など色々あるだろう。

 特定の製品を製造する部署が、他の製品との技術共有する場合がある。この場合には本社の生産技術開発部門との連携が必要だ。もし、そのような組織がないのであれば、複数の製造部門で共同のプロジェクトを作れば良い。コンカレントエンジニアリングの横展開だ。また、設備関連のテーマであれば、設備メーカーとの共同開発も視野に入れるといいだろう。

 他にも、生産システムもテーマになりうる候補だ。変種変量、ライフサイクル短縮への対応、IT化、グローバル展開対応など色々やるべきことはある。どれを優先するかは君の組織の戦略次第だ。だが、ひとつだけ確実なことがある。それは、製造部門で開発にリソースを割くことは人材育成の面でも好ましいということだ。このような取り組みは、自律性、専門性、そして目的意識をもったメンバーを育て、士気を高め、組織を強くしていく。ぜひ取り組んでみてほしい。

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