日本の製造業はすり合わせが得意だ、ということがよく言われる。しかし、グローバル化を迎えた今、時代は標準化へと向かおうとしている。自社で製品の部品から最終製品までをすり合わせて製造する垂直統合型のビジネスから、標準化された部品を調達し、組み合わせ、最終製品を製造する水平分業型のビジネスへの流れが加速している。この流れは、コンピュータなどのIT機器で顕著だ。しかし、自動車業界もそのような時代の流れに巻き込まれつつあるという。これは、もともとすり合わせ技術が重要だと言われていた分野だ。
実は標準化もコンカレントエンエンジニアリングの結果(あるいは目的地のひとつ)と捉えることができる。なぜなら、標準化を進めるということは、組織全体として「コレが僕たちの標準だ」というものを決定することだからだ。部門の垣根を超えた協力がなければ成し遂げることはできないだろう。そして、このような動きは組織の中期計画に基づいたものであるはずだ。組織の戦略がなければ標準化など成し遂げられない。
標準化には、シャーシのプラットフォーム化、主要部品のモジュール化、そしてキット化などの手法がある。そしてこれらの本質は再利用にある。標準化された部品を、色々な方法で組み合わせることにより多様な製品を開発できる。これは部品を開発する期間と手間を再利用しているのだ。その結果、タイムツーマーケットの短縮が可能となる。
日本の製造業が得意とするすり合わせは、非常に難易度が高く、一筋縄では達成が難しいということが言われることがある。しかし、すり合わせより標準化はさらに難易度が高いはずだ。これは社内だけでの話では終わらないからだ。社外どころかグローバルな標準について考えなければならない。究極には世界標準は何かというところまで突き詰める必要があるのだ。
このことからも分かるように、すり合わせだせでなく標準化を行うためにも、コンカレントエンエンジニアリングは重要な手法なのだ。