◉3D CAD
コンカレントエンエンジニアリングの、名を知らしめたのはボーイング社のボーイング777開発プロジェクトだった。このプロジェクトでは3D CADがフル活用されたという。3D CADはもともと部品点数の多い商品に使われていた。つまり、航空機や自動車などだ。しかし、パソコンの進化と低価格化により、エントリクラスの3D CADが出現した。これらの製品は中小企業、あるいはメイカーズでも導入可能だ。(オープンソースのものもある)
直感的な見た目なので、操作したことのない人にとっては意外かもしれないが、実は3DCADのモデル作成は2次元図面を作成するのより手間がかかる。しかし、コンカレントエンエンジニアリングには、その手間を考慮しても有り余るほど3D CADのメリットは大きい。それは次の3点に集約される。
・誰でも理解できる
・一元化しやすい
・設計変更に強い
3D CADでモデリングされた部品あるいはアセンブリは、その実体を表す絵なので、専門知識がなくても「ああ、こういう形状なんだな」と容易に理解できる。だから、設計者だけでなく、営業担当でもそれを活用することができる。コンカレントエンエンジニアリングにもってこいなのはこのためだ。
一元化に関しては、PDMやPLMを使用したほうが確実ではあるが、設計者と加工工程で同じデータをそのまま使用できるため、一元化しやすいデータ形式であることは間違いない。何がマスターデータなのかを明確にできれば一元化することができる。
また、パラメータを調整することで、設計変更も容易に行うことができる。モデルの加工順序や親子関係などを意識してモデリングできていれば、これらの調整は比較的簡単に行うことができる。
もはや、3D CADは製造業には欠かせないものとなってきている。個人のメイカーズでも、フル活用している人は多いだろう。このようなデジタルツールが一般に普及することにより、ものづくりは新たな局面に入りつつある。