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CAMと加工機、そしてデジタルツイン

ahedgehogchase

◉CAM

CAM とはコンピュータ上でNC工作機械の動作をプログラミングするソフトウェアのことだ。樹脂成型用金型用の場合、キャビティとコアの設計の実行、樹脂流動解析、スプール、ランナー、ゲート配置やウェルドライン位置の設定、加工プログラムの生成ツールパスの確認、干渉チェックなどの機能を備えている。

 これほど色々なことができるため、自動で全部やってくれそうな印象を受けるが、これもあくまでも技術支援ツールであり、技術者が最終的な判断を下す必要がある。機械が設計思想を持つことはないからだ。(少なくとも現段階では)

 たとえば、金型の追い込みには、樹脂の特性について精通しておかなければならない。樹脂の流れ方や、成型後の収縮についてなど、経験に基づくノウハウが重要なのだ。

 また、技術者が加工機の特性を把握しておくことも重要だ。きっとマニュアルに書いてある通りにはいかない。少なくとも自分たちの狙った条件を満たすには、試行錯誤が必要で、その経験が自分たちの強みになるということを認識しておくべきだ。

 こなような加工条件はライブラリ化(形式知化)して伝承可能なものとするのが良いだろう。

 NC加工機もデジタルツイン化できれば面白いかもしれない。マニュアル通りにいかない部分を、機械自身が認識できるようになるのだ。また、ユーザの使い方を学習して、条件を提示してくれるようになれば、ものづくりの裾野が広がるのかもしれない。そのような機能を盛り込んだとしても、最終決定は人間が行うべきだ。たとえ、君のミッションを機械が理解できるようになったとしても、答えはひとつとは限らない。何が最適かを決めるのは君自身なのだ。

 技術がこのような方向に進化していくことは喜ばしいことだ。ものづくりの裾野が広がるのは、今まで限られた人しかアクセスできなかった生産技術を民主化することに他ならないからだ。もちろん、色々な懸念があるのも確かだ。ものづくりの民主化で、粗悪品が流通することもあるだろう。もし、それらの粗悪品が誌上で大事故を起こしてしまったら大変なことになる。

 だから、生産技術の民主化は、品質にかんする技術とセットで民主化されなければならない。メイカーズに製造責任が課されるのだあれば、少なくともツールの普及と同じスピードで品質に関連する技術も普及しなければならない。そうでなければ、ものづくりの民主化は何かしらの制約を受けてしまうかもしれない。それは将来的に損失をもたらすものだと僕は思う。

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