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誰のために何を為すのか

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◉理想追求型QCストーリー  君たちが何か自分たちの手で何かを生み出し、世の中に問いたいと考えているならば、今から述べることは、君が今やるべきことを教えてくれるかもしれない。これによって君の目指す目的地への大まかな経路がいくつかピックアップすることができるだろう。この手法はバックキャスティングに基づいた「理想追求型QCストーリー」と名付けられている。これは加藤雄一郎氏が提唱している手法だ。  バックキャスティングというのは、未来を起点として考え、そこから逆算して今を捉えることだ。つまり、未来を実現するために今何を為すべきかを考えるフレームワークだ。現場から君の夢を決めるのではない。君の夢から現在を規定するのだ。 (1)君は何を成し遂げたいのか  君が何かを作り出そうとしている以上、ある程度の目的は説明できるはずだ。だから、なにを成し遂げたいのか明文化してみよう。文に書き出すことは重要だ。なぜなら、人間は言葉という形にすることによって初めて、概念を捉えることができるからだ。 そして、それを他の人が使用するとき、君は何を望むのか。それを書き出してみよう。君の製品を使う人は、何が起これば満足するのか。それは君の情熱に合致するのか。それを吟味する必要がある。 (2)誰のために君はそれを為すのか  目的地がはっきりしたならば、君のメッセージが誰に届けば成功なのか考えてみよう。そして、なぜその人であればメッセージが届くのかを考えるのだ。つまり、典型的なユーザ(ペルソナ)を選ぶのだ。そのペルソナは君の作り出す製品との親和性が最も高い人物であゆはずだ。君自身がペルソナの場合もあるだろう。例えば、筋電義手ならば腕の不自由な人がペルソナとして選ばれる可能性が高い。あとはその人の属性や価値観が重要な意味を持ってくるだろう。なぜ、その人がペルソナとして最適なのか説明できるようにしておくべきだ。それが出来ないのであれば、ペルソナの人選は最適ではない。 (3)ペルソナに起こるであろう事象  ここではPEST分析により、ペルソナの身に起こりうることを洗い出していく。PESTとは、政治、経済、社会、技術の四つの外部環境の変化が対象に及ぼす影響を評価する方法だ。これはペルソナの現状を把握することが目的だ。そして、これからペルソナにどのような変化が現れるのかを考えることも重要だ。 (4)君はペルソナに何ができるか  先ほどの分析では外部環境の影響を評価した。これは君がどのような行動を起こそうとも、基本的には変わらない要素だ。それに対して、ここで定義するのは、君がどのようにペルソナに関わっていくのか、ということだ。つまり、君がペルソナに影響を与えられる範囲を明確にするということ、事業範囲を宣言することに他ならない。 宣言すべき項目にはペルソナとの長期的関係も含まれる。ペルソナに与える影響を時間軸ごとに見ていくのも重要だ。 (5)ペルソナは君に何を求めるのか  ここではペルソナが時間軸ごとに要求するであろうことをリストアップしよう。これらは将来の潜在的なニーズだ。このなからペルソナが重要だと考えること、君が為すことができること、そしてペルソナ以外の人たちに何を与えることができるのか。この三つの軸で優先順位をつけていこう。 (6)君の強みは誰かを助けられるか  君が何を為すことができるか、ということに関して言えば、君の持つ強みの評価はかなり重要だ。君がどんな技術に強みを持っているのか、どんなノウハウを持っているのか、君の仲間は何が得意なのか、そういう要素を全て棚卸しをしてみよう。そうすれば、なにを為すべきかは自ずと見えてこよう。  これらに向き合うことにより、君の事業領域が浮き上がってくる。これらの製品との・サービスは独立したものではない。すべてが協調しながら君の理想や信念を具現化する手段として機能する。このような事業は君の為すことの独自性を手に入れることにもつながる。  この内容を具体的に検討していくことで、漠然とした事業のアイディアを、ある程度、明確に描くことができるようになるはずだ。どのような物語を紡ぐのかと考えてみたら、ワクワクしないだろうか。

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