◉PMIを用いた設計意図の伝達
3次元データの活用は進んでいるものの、まだまだ2次元図面との併用という形が一般的だ。これは、3次元データと2次元図面の両方を作成しなければならず、二度手間だ。できれば、3次元データだけで完結したいと思うが、なかなか進まない。君が3時設計を経験したことがあるならば、身に覚えがあるかもしれない。このような事態に陥りやすいのは3DCAD で、設計意図を伝達すること手段が確立されていないことに起因する。 そこで、日本自動車工業会と電子情報技術産業協会は、独自にその手段に関するガイドラインを決めている。しかし、あくまでガイドラインだ。JISのような規格であり、準拠しなければならないというものでもない。 例えば、電子情報技術産業協会のガイドラインは次のようなものだ。 http://home.jeita.or.jp/3d/pdf/s2016ver10.pdf このガイドラインでは、寸法と公差の情報(GDT)、注釈、材料、表面仕上げなどを含む製品製造情報(PMI)の情報が付加されたモデルを使用することで設計意図の伝達を行おうとしている。このPMI付加の情報を三次元製品情報付加モデル(3DAモデル)と呼ぶ。このモデルを活用し、リバースエンジニアリングを行うことで、設計意図が伝わっているかどうかを検証していくプロセスが、このガイドラインには記載されている。基本的にはこのようなガイドラインを活用していくことが、現在最も有効な方法だろう。恐らく、PMIを含む3次元データの作成方法は、規格化されていく可能性は高い。そして、その規格自体も先ほど紹介したようなガイドラインを基礎として作り上げていくはずだ。そういう意味でも、このような方法を今から使用していくのも良いだろう。 ただし、これらのガイドラインは決して万能ではないということは意識しておいた方が良いだろう。まだ、これらの手法は発展途上だ。これらを補うための工夫が必要なのだ。