◉3次元データによる意図伝達のルールづくり
試作を実施したとき、不具合が起こらないという保証はない。というより、起こらない方が稀だ。これは、設計者としては反省しなければならないところだ。これは設計検討が不十分であったことを示すからだ。とは言え、時間が限られている中で、設計、試作した結果、残念ながら不具合が起こってしまったときには、それに対処するしかない。そんな場合に、設計変更が行われるわけだ。 2次元図面の場合、設計変更箇所に三角記号を記載するので、設計変更箇所の確認は比較的容易だ。対して、三次元データの場合はどうだろうか。もちろん、PMIを用いて設計変更の注釈をつけることは可能だろう。だがらそれ以外に、一目瞭然の方法がある。それは、設計品行箇所の色を変更する、というやり方だ。設計変更のたびに、新しい設計品行箇所の色を変えたデータを製造現場に送付するのだ。 ただし、このやり方を行う上で確認しておかなければならないことが2つある。 1つ目は、データを受け取る側に色の情報が伝達できるのかどうか。さらに、データの送信者が意図した通りに受信側でも色彩が確認できるかどうかも重要だ。中間ファイルとして書き出した場合には、色の情報が抜け落ちてしまうことは、僕にも経験があるので、そもそもこのやり方が可能なのかどうかは必ず確認してほしい。 2つ目は、意図した通りに色の伝達が可能なのであれば、ルールを決めることだ。1度目の設計変更では赤色。2度目は橙。3度目は黄色…などなど。やり方は色々あると思うが、送受信者側で、同意ができていれば問題ない。さらに、ファイル名に改定回数の情報を記載しておけば、受信者はファイルの色を参照して、そのバージョンが正しいかどうかを判断することはできるだろう。 これらのルールを守れば、設計変更によるミスはかなり減らすことができるはずだ。