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日本の強みは、時として弱みになる。その矛盾を逆手に取れば良い。

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◉擦り合わせを無くす設計  日本の部品に比べると海外製の部品は品質が悪い。なんて言葉はよく聞く話だ。けれども、この言葉は実態を表しているのだろうか。もちろん、図面通りに仕上がって来ないのは論外だ。でも、記載した公差が実現不可能な場合には、日本メーカーは擦り合わせでなんと成り立つように辻褄を合わせる努力をしてくる。これは、海外メーカーにはあまり期待できない。

 そのように書くと、日本のメーカーの生産現場はすごいという話になってしまうのだが、(もちろんそうなのだけれども)その認識できる終わってしまうのは果たして僕たちにとって良いことなのだろうか。もしかしたら、海外の安い労働力によるコストダウンというチャンスをみすみす逃してしまっている可能性だってある。要は擦り合わせの必要のない設計を行うことができれば良いのだ。  海外展開がうまく仕上がらないのは、コミュニケーションがうまくいっていない可能性がある。設計図に記載された寸法公差や幾何公差、表面粗さなどは設計図の使用目的や不良防止のために記載されるものだ。この数値が、君の狙ったものであれば何も問題はない。問題となるのは、これらの値が君の狙い通りに表現できていない場合と、そもそも工程にその数値が実現不可能な場合だ。  前者の場合は公差設計のやり方を見直せば良いので、どちらかと言えば自己完結できる領域の問題だ。でも、工程の実力を反映していない場合は、もっと深いコミュニケーションを取らなければならないだろう。  そして、より効果的なのが、これまでに推奨して来た、三次元データを用いたやり取りだ。すでに述べた通り、この伝達方法を円滑に行うには、データの送信者間のコミュニケーションが非常に重要だ。でも、それ以上にこの方法にはメリットがある。それは設計意図を直接書き込むことだ。PMIの情報伝達が可能なのであれば、実際の形状とその設計意図を確認して、さらにどのような加工方法を選択すれば良いかが容易にわかる。公差解析の経験が浅い場合でも、設計意図は確実に伝わるので、下手に厳しい(成り立たないと)公差を指定するよりも高品質なものが出来上がるだろう。君の設計思想は、黙っていたら伝わらない。むしろ、うるさいくらい主張してちょうど良いのだ。言葉の壁を越えるのだから尚更だ。

 設計思想を伝えるにはコミュニケーションが第一。これを心に刻み込んでほしい。

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