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失敗学とナレッジベース

ahedgehogchase

 今日も淡々と問題を解いていこう。

 今日は「失敗学」についてだ。

 

1-1 機械設計【選択科目II】(平成28年)

III-1 「失敗学」では、起こってしまった失敗に対し、物理的・人為的な直接原因と、背景・環境・組織を含む根本原因を究明する。それらの原因分析から教訓を得て。同じような失敗を繰り返さないように対策を講じる。また、得られた知識を社内の他部門や公共に対して公開することで水平展開をはかる。すなわち、①原因究明、②失敗防止、③知識配布が「失敗学」の核となる。既存製品に不具合が発生し、あなたが原因究明と再発防止の責任者であるとして、次の設問に答えよ。

(1)強度不足など製品不具合の直接原因の例を1つ挙げ、それに至る根本原因として考えられるものを多面的に述べよ。

(2)(1)で述べた根本原因のうち、あなたが重要と考えるものを1つ挙げ、再発防止をはかるための提案を示せ。

(3)(2)の提案だけでは、防止しきれないリスクあるいは限界について説明せよ。

 

【解答例草稿】

◉失敗学

1.製品不具合とその例

1.1 製品不具合の例

 テレプレゼンスロボットのプロトタイプにおいて、走行部車軸が評価中に折損する事例があった。折損した車軸はサーボモータに直接締結されており、直接駆動力を伝達する役割を担っていた。この車軸折損の事例では、車軸の破損断面にビーチマークが観察されたことから疲労破壊であることが判明した。また、軸は車軸のキー溝部より破断が始まっていた。これは、キー溝部に応力集中による過負荷が生じていたことを示す。すなわち、軸の強度設計が車軸の折損の原因である。

1.2根本原因

 軸の強度不足を招いた原因としては以下の原因が挙げられる。

①調査・検討不足

 このロボットの走行部は駆動軸2輪と従動輪2輪の4輪により構成されていた。また、走行部は平地走行のみを想定していたため、サスペンションを設けていなかった。よって、車軸は駆動力の伝達と、ロボット本体の荷重を担持する役割を同時に担っていた。そのため、

②組織運営不足

 プロトタイプ試作の前に設計審査を実施していたが、この構成に対する過荷重の懸念等は示されなかった。今回の不具合の際に、過去事例を再調査したところ、同じような不具合が起きていたことが判明した。そのため、過去の不具合に対する情報の共有と、その有効活用が行われていなかったことが明らかになった。

③制約条件の変化

 プロトタイプの構想設計時点から試作検証にかけて、ロボットの荷重に関する仕様が変更を繰り返したため、検証時には想定していたよりも大きい荷重が車軸にかかるようになってしまっていた。

2.KB活用による再発防止

 この折損事例は、すでに過去の失敗事例があり、同様の失敗を避けるための方策も明らかになっていた。すなわち、車軸にロボットの荷重を担持させないように従輪を3輪以上設けた上で、駆動輪を懸架することで避けられることが明らかになっていたのである。それにも関わらず、過去の知恵が活用されなかったのである。すなわち、過去の知恵を次の開発に活かせるような組織運営ができていなかったということだ。

そこで、私はナレッジベース(KB)活用による再発防止を提案する。

まず、設計時にナレッジベース常に似た構成の事例がないかを調査する。そして、その際の失敗事例を把握し、設計に活用することが必要だ。そして設計審査の際、審査者は過去の不具合リストから起こりうる不良を可能な限り洗い出し、設計に不備がないかを徹底的に議論するように運営しなければならない。その議論にもKBを活用することで、議論の質を高め、効率化を図ることができる。

3.防止しきれないリスク、限界

 KBの短所は「経験していないことは知識化されていない」ということに尽きる。すなわち、新規事業立ち上げの場合など、未知の領域が大きい場合には対処しきれない。そのため、未知の領域に対してノウハウを蓄積するため、未知の事項に対して仮説を立て、検証を頻繁に繰り返すというプロセスが重要になってくる。このプロセスによりノウハウを蓄積し、ナレッジベースの限界を補っていく必要がある。

以上。

(※事例はこのページを参考にして作成した例である)

 

補足: 失敗の10大要因

 失敗の要因はおおまかに以下のように分類できる。(1)未知、(2)無知、(3)不注意、(4)不遵守、(5)誤判断、(6)調査・検討不足、(7)制約条件の変化、(8)企画不良、(9)価値観不良、(10)組織運営不良

 

 またしても、文字数は気にせずに書いてしまった。しかし、これはある意味確信的にやっていることだ。とりあえず、今の時点で書けることを書いてしまって、そのエッセンスを抽出していくという方法でブラッシュアップをかけていこうと思っているのだ。まさに失敗を通して質を上げていく「失敗学」の考え方に通じるものではないだろうか。

(そのように書いていながら、ブラッシュアップを怠れば、何の意味もないことを次回の意味を込めて注記しておこう。)

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