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ハリネズミの羅針盤〜非物質化する世界で僕がすべきことは何が〜

ahedgehogchase

非物質化する世界で

 僕たちは、非物質化する世界に生きている。こんなことを書くと何を言っているんだ、と思われるかもしれない。でも、結構ピンとくる人はいるんじゃないだろうか。Kindleを使うことで僕たちの本棚は、それほど大きい必要が無くなってきたし、最近CDを買った記憶がないという人もいるだろう。そういうことだ。

 非物質化しているのは、デジタル機器に代替された記録媒体だけじゃない。自動車というゴテゴテした機械製品ですら、非物質化の波には逆らえない。環境負荷の低減のため、自動車はどんどん軽くして燃費を上げていかなければならない。軽くなった分、非物質化して行っているのだ。しかも、自動運転車が普及すれば、人件費がかからない分運賃が安くなるので、自動運転タクシーを利用するのが合理的になってきて、自動車の数は最適化されるかもしれない。基本的に車庫に眠っている車がなくなるのだから。  そもそも移動する必要があるのかという話もある。MRの発達した世界では、長距離移動するのが合理的ではないかもしれない。  そんなわけで、この世の中はどんどん非物質化していくわけだ。

敢えての物質化

 しかし、待てよ。このブログのテーマを思い出して欲しい。デジタルファブリケーション時代のコンカレントエンジニアリングを極める!だ。わすれてはいないだろうか?知らなかった人は、今日覚えて欲しい。 いや。ファブリケーションて。思いっきり、物質化してるじゃないか。そう。世の流れに逆流するのがハリネズミ流です。まあ、本当は逆行してはないんだけれどね。

苦境にあえぐものづくり、絶好調シリコンバレー  ものづくりの世界はなかなか厳しい。家電メーカーの苦境は今更語るまでもないだろう。一方で、シリコンバレーのIT企業が最強となったこの時代。物質を繰り出さずに人々の生活を変える業態が有利になった。Google、Apple、Facebook。枚挙にいとまはない。  スマートフォンなどのデジタル機器が、世界中に普及し、ネットワーク化されたことによって、IT企業は自ら物質を作り出すことなく、人々の需要を満たして行ったわけだ。  でも、歴史は決して繰り返さない。同じような戦略で攻めても得られるものは少ない。得られないとは言わない。でも、もはやオンラインの世界はレッドオーシャンだ。ピーター・ティールじゃないけれども、競争は体力を消耗するだけで、おすすめはできない。

ポストインターネット  だから、次なる一手を打とうとした時には、インターネットだけど、それだけじゃない!という感じになるのだろう。その結果、IoTやAI、仮想現実などが次のフィールドとして見えてくる。でも、それらの分野にしても、熾烈な競争が待っていそうな雰囲気がビンビン伝わってくる。  やるならとことんニッチを攻めるしかない。ロングテールを信じろ!というわけだ。

そういえば、どこでもドアがあった  以前、僕は、「どこでもドアは実現できる」と書いたことがある。たぶん、誰かが作り出してしまうだろう。もう、時間の問題だ。どこでもドアの扉を開けるのは、最初はVR(仮想現実)だろう。それがAR(拡張現実)と融合して、MRになる。そして、5Gという通信手段が得られた暁には、僕たちはカメラ越しに、どこでも行けるようになる。さらには、カメラが身体を手に入れれば、僕たちはその身体に憑依することだってできるだろう。もはや、流れは見えている。実現可能なのだ。実現可能なのが、知れてしまった以上はそこに向かう競争は既に火蓋を切ってしまったと考えるのが妥当だ。  でも、まあ誰かがそういうシステムを作り出してしまったのならば、このブログのテーマを実行にうつすことが容易になるだろう。だから、この流れは歓迎すべきことだ。僕たちがやるべきことは、この流れをうまく掴むことだ。  そう。今、ピボットしました。ピーター・ティールに、怒られる。  まあ、でもこのブログに掲げたテーマを変えたわけではないから、セーフだろう。セーフ。根本的な思想は変わらない。どこでもドアなんていうのは付随的なものだ。そう思おう。

物質であり情報である

 非物質化の流れには逆行しているように見えるかも知れないが、そもそもデジタルファブリケーションは、物質とデジタルデータの距離を近づける行為だ。だから、ポストインターネット的な時代の流れを汲んでいるのは間違いない。クリス・アンダーソンが提示したメイカーズ的な未来が実現するのは、もうちょっと先のことだろう。  アトムをビットとして扱えれれば、ものづくりの苦しさを克服することができれば。僕の目指すのは、そういうものなのだ。そのために必要なのが、デジタルファブリケーション時代の流れのコンカレントエンジニアリングだと僕は考えている。そこに向かって、ぼくに何ができるのか、これからもじっくりと考えていきたい。

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