固定方法(続き)
●真空吸着
真空吸着は空気を吸引し、真空状態を用いてワークを保持する。これは、すごいことのように聞こえる。なぜなら、部材を吸引部の上に置くだけで、固定することができるからね。 この方法の問題点は、まあまあメンテナンスが大変だってことだ。なぜならぼば、装置は真空配管に接続されているから、吸引部を清掃しなきゃならない。 そういうわけで、この方法は製造業で用いられる。なぜならば、生産サイクルが短いからだ。部材を置いて、切削し、取り出すという一連の流れを短時間で行うことができる。 また、この方法はハイエンドマシンで用いられる。しかし、これらは頻繁にメンテナンスを行い、真空吸着性能を維持しているんだ。
●ウォータジェット、EDMにおける固定方法
ウォータジェットやEDMのように、横方向に切断に関する力がかからない手法では、ワークを置いて自重で固定することができる。 ●マシナブフワックスの固定方法 その他には、例えばワックス(蝋)の切削について触れておこう。 おっと、ここで、紹介するのを忘れていた素材をひとつ加えよう。 マシナブルワックスだ。
これは、machinablewax.comへのリンクだ。この素材は容易に切削することができて、型を作ったり、工作に適している。 そして、この素材の固定方法といえば、文字通り、糊付けだ。グルーガンで、糊を塗って、そこに素材を置く。そして、切削用の犠牲層の上でちょいと糊を温めるんだ。 この作業を行ったあとは、糊を割るんだ。コツンと叩いてやれば、ポロっと取れるよ。 こんな感じで、糊付けするんだ。
力があまり大きくない場合、カーペットテープを使うこともできる。これは、幅の広い両面テープだ。 ●低融点金属 実に面白い固定方法は、非常に複雑な多軸加工するときに、カプセル化するやり方だ。 どういうことかと言うと、まずは、低融点の金属を用意する。この低融点の金属を融かして、高融点の金属の周りに塗りつける。そして、部品をカプセルごとマシニングする。マシニング加工が完了したのち、もう一度低融点金属を溶かす。 ●固定方法のまとめ そんなわけで、これらが固定方法の全てだ。 君たちはクランプやネジを使う傾向が大きいけれども、大型のマシニング加工を行う場合、小型のものよりも固定に多くの時間を要するし、さらなる注意を払わなければならない。 (つづく) 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。