空間転送(なんちゃってどこでもドア)
第3の障壁は、あと数年で取り払われるだろう。というか、もうすでに半分取り払われていると言っても良い。
なぜならば、現在でもSkypeを用いれば地球の裏側とリアルタイムで通信することができる。Fab Academyを見てみれば、世界中の参加者が一同に介して講義を受講している。だから、今も実現されていると言って良い。 しかし、解像度が足りない。僕が指摘するまでもないが、MR(複合現実)が実現されれば、空間という情報は転送可能なものになる。3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションツールが物資で転送ツールだとすれば、MRは空間転送ツールとしても使うことができる。自分のダミーロボットを作ることができれば、かなりリアリティのある空間転送が可能となるだろう。技術的には可能だし、その普及もそれほど時間はかからないだろう。 Fab Labのように世界中に拠点のある組織では、このようなテクノロジーの出現は意味のあることだろう。世界を跨いだプロジェクトを一緒に進めることができるからだ。 この状況こそが、デジタルファブリケーション時代のコンカレントエンジニアリングを可能にする。 ここまで、3つの障壁とそれを解決するであろうものを見てきたが、難易度の高いのは1つ目の障壁を超えることだ。2番目の障壁は、超えられる人は今だってどんどんその障壁を越えて行っている。3番目の障壁は、そういうビジョンを持っている人たちがどんどん努力を重ねて、超えていくことだろう。 そういう意味で、1つ目の障壁に対する答え、マイクロ資本というものは魅力的なキーワードだ。なぜなら、まだ解決の糸口さえ見えていないのだから。 とは言え、電力コストの低下と、それに伴うモノのコストの低下という兆しは見えている。それを僕たちの暮らしにどう接続するのか、そこに照準を合わせればいいのだ。 ここで、はっきり言っておかねばならないことは、答えのない問いに労力を費やしてしまうのは得策ではない。 だから、僕がやるべきことは答えを出すことだ。それが出来なければ意味がない。そのためには試行錯誤がある程度必要だ。手を動かさなきゃならない。そして、日々答えを修正していくしかないだろう。少しずつ答えに近づいていきたい。
ひとまず完