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もしも、虹がなくなってしまったら①

ahedgehogchase

〜FMEA failure mode effect analysis〜

もしも虹がなくなってしまったら

 こんな事を考えたことはないだろうか?例えば、もしこの世界に虹がなくなってしまったらどうなっていただろう。虹がないということは、僕たちは光の色を失ってしまうことを意味する。モノクロの世界に閉じ込められて美しい景色は、その鮮やかな色彩を永遠に姿を消してしまうのだ。

 こんな風に、何かがなくなってしまったらどうなってしまうだろう?と考えることは誰だってあるだろう。

 こんな風に想像を巡らせることは、ちょっと楽しい空想にもなるだろうが、ものづくりに関わる人間にとっても重要なことだ。それは製品の安全性を確保するときに真価を発揮する。しかも、かなり事細かに想像していくことが求められるのだ。

pepperが壊れた時

 例えば、ここにpepperくんがいるとする。pepperくんはマイクで人間が言っていることを聞き取って、コンピュータで音声認識の処理をし、スピーカーから返答してくれるロボットだ。もしマイクが壊れてしまったら、ペッパーくんは僕たちが何を話しかけても反応できなくなってしまう。コミュニケーションを目的として造られているpepperくんがコミュニケーションできなくなるのは、大問題だ。こんなことは、なるべく起こらないようにしないといけない。

 こんな風に、製品を構成している要素ごとに、発生する可能性のある故障モードを予測して、それにより製品の性能にどのような影響を与えるのかを解析する手法をFailure Mode Effect Analysis(FMEA)という。製品の安全性や信頼性を高めるためにこの手法はよく使われる。

 では、どうやって進めていけば良いだろうか。

1. FMEA班の結成

 まず最初にやるべきことは、誰が実施するのかを決めることだ。これまでにもコンカレントエンジニアリングについて取り上げたことがあるが、実施メンバーはできるだけ色々な業務に関わる人たちに関わってもらうことが、多様な意見を取り入れる上でも、情報共有を円滑化する上でも重要だ。この色々なバックグラウンドから構成されるFMEA班は、このプロジェクトのためだけに結成される選抜隊だ。彼らが、これから書く一連の流れを実際に行なっていく。

2. 製品について熟知せよ

 次にすべきことは、製品について知ることだ。「いや、自分の関わる製品だから知っているよ。」なんて言ってはいけない。色々な立場から見ると、よく知っていると思っている事柄でも自分の知らない側面があるものだ。だから、図面やプロトタイプを目の前に置いて、それがどんな構成なのかを徹底的に皆で探っていくのだ。そして、工程はどのように進めていく予定なのかも詳細に情報共有をしていく。ここで徹底すべきは、まだ粗探しに走らないことだ。まずは、それが何なのかを知ることが重要なのだ。

3.出来るだけ分割せよ

 そして、製品の大まかな部分を把握したら、構成ユニットに分割していく。それぞれのユニットごとに、そのユニットについて皆で探っていくのだ。ユニットは厳格に分割して、脱線しないことが大事だ。何せ、分量が多いのだ。他の議論をしている暇はない。目の前のことを確実に理解していく姿勢が必要だ。

      表1:縮小転送装置YORISHIROの部品の例

※この分割にはBOM(部品表)を活用するといい。BOMは製品を構成するユニットと部品を全てリストアップしている。だからFMEA実施時には大いに役立つだろう。まずは設計BOMを設計者が作成し、それを元に議論していくのが良いだろう。

4.品質表と対応させよ

 ここまできたら、品質表を見てみよう(品質表については羅針盤シリーズで取り上げた)。品質表には、顧客がその製品に望む機能と、その機能を実現するための技術的課題が書き込まれているはずだ。品質表は製品開発を進めていくうえでの羅針盤なのだ。あとは、これに従って航海を進めていけば良い。

      表2:縮小転送装置YORISHIROの品質表の例

 さあ、これで下準備は完了だ。次回からはどう進めていけば良いのかを見ていく。

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