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もしも、虹がなくなってしまったら②

ahedgehogchase

〜FMEA failure mode effect analysis〜

前回、下準備ができたので。今回はどうやって進めていけば良いのかについて説明しよう。まずは大まかな流れを追っていく。

故障モードを列挙せよ

 FMEAを進めていくには、最初に故障モードを列挙していかなければならない。製品全体がどんな壊れ方をするだろうか?個々のユニットや部品はどんな壊れ方をするだろうか。そんな事を皆で議論をしていく。

 ここで挙げた項目について、次のステップから分析を行うので、よく考えよう。MECE(漏れなくダブりなく)で進めていこう。

 過去の事例などと照らし合わせられると、色々な見方ができるかもしれない。今まで培ってきた経験を知識ベースとして利用できる環境であれば、より円滑に進めることができるだろう。

        表1:故障モードの例

故障モードの影響を想像せよ

 次に、故障モードの影響について考えていこう。ひとつの故障モードでも、色々な影響が出てくるはずだ。これもMECEで分析していく。

        表2 故障モードの例

想定される故障モードの原因を列挙せよ

 次に故障モードの原因を議論していく。どんな理由でその故障モードが発生するのかを、ひとつづつ洗い出していこう。

        表3 原因の例

影響の厳しさ、頻度、検出可能性を評価せよ

 ここまで故障モードそのものと、その影響や原因を列挙してきた。このステップでは、故障モードの影響を定量化していく。この作業により、どの故障モードに重点的に取り組むべきかが見えてくるだろう。このステップでは3つの指標が重要となるので順に見ていこう。

 ひとつめは影響の厳しさ。どんな危険性があるのか考えて、点数をつけていく。例えば、爆発するような故障モードは、人を死に至らしめる深刻な影響をおよぼす。だから10点だ。逆に、テレビのリモコンの効きが悪くなるくらいの故障モードであれば、ユーザーがイライラするという影響をおよぼす。顧客満足度的にはよろしくない話だが、人命を奪う危険性はないので点数は低くつけて良い。

 ふたつめは故障する頻度だ。しょっちゅう起こりえる故障モードの点数は高く、滅多に起こらないものは低い点数でいい。

 そして最後に、検出可能性だ。故障しているのに全然そうとは分からず、いきなり大事故になるのが、最も怖いパターンだ。見たらすぐ分かるような故障は点数を低くする。アラームが鳴るようなものも、それほど高い点数をつける必要はない。

 見た目では故障が全然分からないものや、アラームも鳴らせないようなものは、点数を高く評価しよう。

        表4 評価基準の例

 これら3つの要素が掛け合わされると、危険度優先指数が算出される。これを使ってリストアップした故障モードの危険度を見直してみよう。最も危険な故障モードはどれだっただろうか。それが、君が最も優先すべき課題だ。

表5 FMEA実施例

※FMEA実施結果は、思った通りの結果が出ただろうか。僕の場合は、意外な結果が上位にランクインした。もともと影響が大きいだろうと考えていた燃焼や物理的故障は、影響が大きいのに対して、その見地の可能性は非常に高く、危険度優先度によるランキングで上位に来ることはまれであることがわかった。これは、先入観に囚われて優先順位を決定することの危険さを示唆している。客観的な分析が必要だ。

フォローアップ

 実は、まだこれで終わりではない。やるべきことはまだ終わっていない。

 FMEAを通して出てきた危険度に対する対策を実施し、その後、再び致命度(危険度)を評価するのだ。それでも、まだ致命度が高い項目は残るだろう。その項目は重要な故障モードだ。これをプロジェクトメンバー全員に共有する。そして、2次FMEAを実施するという流れだ。FMEAを効果的に実施するにはPDCA(PLAN DO CHECK ACTION)のサイクルを回していくと良いだろう。

 旅はまだまだつづく。FMEAは安全に旅をするために必要な航海術だ。この技を磨きつつ、羅針盤の示す方角へ航海をつづけていこう。

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