ナイフの設定と試し切りが重要
ビニルカッター(プロッタ)に関して、さらに説明していこう。ペンホルダーみたいなものがあるだろう。でも、これがナイフだ。これらのナイフは非常に寿命が長い。でも、結局は刃が鈍って交換が必要になる。今紹介した他にも、使用できる素材がある。僕はインベントリにカーペットテープを加えてやろうかと思っている。これは、大きなエリアに適用できる。また、ビニルカッターでもレーザカッターでも加工が可能だ。サンドブラストに用いるステンシルなんかも可能できるね。これは、ガラスをエッチングするときに使う。 それから、ビニルカッターで実際に加工する前に、試し切りをすることをお勧めする。特に新しいデータを加工するときは、必須だ。 実際に切断してみよう。まずは、PNGファイルを保存する。 そして、これをFabModuleにぶちこむ。FabModuleを起動すると、ピットマップファイルをラスターとして読み込むことができる。同様に、SVGAはベクターのメッシュとして、球状のSTLは格子状の体積を持ったデータとして読み込むことができる。僕はここでは、PNGを作ってみた。ビニルカッターで、この形状を作ってみようと思う。そして、FabModuleはCAMの役割を果たす。 では、ビニルカッターでカッティングするための設定を行おう。どれくらいの硬さで、どのくらい深くナイフの刃を出すか、移動速度はどのくらいかという項目は必ず設定しなければならない。特に注意すべき点だ。 刃の深さに関しては、よくミスを犯してしまう。ものすごく真剣に見ない限り、ほとんどナイフの先端部は見えない。ペンホルダー状のナイフを取り付ける時によく犯す間違いは、刃を深く出し過ぎてしまうことだ。これは正しくない。刃の深さを設定するときは、必ず次の手順を取る必要がある。まず、ナイフのホルダを取り付ける際には、ナイフの刃を十分に出す。そして、塩化ビニルのシートを置いた時に、その刃がシートを貫通する程度まで引っ込めるんだ。シートを切断するのに十分なだけの刃が出ていれば良いんだ。 でも、刃を戻してしまうと、ほとんど見えない。だから、刃の深さは実際にやってみるのが一番だ。シートを少し切ってみよう。 ビニルカッターが十分に活用されていない理由はここにある。もし、切断する力が強く、切断速度も速ければ、切断しようとしているものを台無しにしてしまう。逆に力が弱過ぎると全然切断できない。 また、うまく切断できる適切な条件の範囲というものがある。その範囲は室温や湿度に影響される。また、刃が汚れていて、手入れがなされていないなどの状況も良くない。あとは試し切りをしていないっていうのもまずいね。試し切りは必要だ。これによって、すべて問題なく動くように設定することができる。条件は変わるものだが、一旦設定できてしまえば、すぐにでもビニルカッターはカッティングできる状態になる。
(つづく)
講義の目次は【和訳版】FabAcademy 2016からご覧ください。
※この記事はFabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。