ただの板 魂宿す 切れ目かな
さて、ここだ、少し時間をかけて、2次元の板から3次元のモノを作った例を見てみようと思う。 これはモスクワFabLabのVladimirの作品だ。彼が作ったのは、たわみを利用した作品だ。切れ込みを入れることで、素材はたわみやすくなる。大量に切り込みを入れてやると何が起こるだろう。2次元の板をたわませて三次元のオブジェクトを造形することができるんだ。
図 板から作られた椅子
ダンボールの切り方
いくつか裏技を使えばこれは段ボールにも応用できる。見てみよう。2015年の作品だったかな。ここに、ある受講者のデザインがある。彼女は僕がまさにやって欲しかったことを、やってくれた。Antimonyを使ってパラメトリックデザインしたんだ。そして、彼女は段ボールからこれらの美しい形状を作った。
図 段ボールを使った例
段ボールなら、2次元的に切断した後に3次元形状に折ることができる。ここで、段ボールのひだが鍵になる。このひだには方向がある。まず、段ボールのひだの方向を確認する必要がある。ひだに垂直な方向にたわむことを考慮してほしい。これを90度回転させると、ひだがたわまなくなる。でも、最初に確認さえしていればこの例のように、きれいにたわみの形状を作ることができる。Antimonyを使って、ね。彼女はとても慎重にパラメータの調整をした。そして、3次元の美しい形状を作り上げたんだ。 受講者:また、レーザーカッターを何度も確認することも大切なですよね。これが完璧に作るために必要なことだと思います。 ああ、その通りだ。でも、今、この講義で説明したいのは、この作品において段ボールの加工にはいくつかの種類があるということだ。 ひとつは、裏面を残して切るやり方だ。このやり方は段ボールを貫通させない。レーザーの出力を変えて、段ボールの上面だけ切るんだ。でも底まで到達させない。底は段ボールの面がそのまま残る。この部分を折ることで、3次元の形状を作ることが出来るってわけさ。 よし、レーザーカッターを使うには、もっと手の込んだやり方もある。段ボールを2次元としてだけ捉えるのは勿体無い。君たちはこれを3次元的に使うことができるのだから。
(つづく)
講義の目次は【和訳版】FabAcademy 2016からご覧ください。
※この記事はFabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。