デジタルファブリケーションとは何か
では、この1時間で、デジタルファブリケーションとは何かということについて話していこうと思う。残りの30分で講座のスケジュール、つまりこの講座でなにを学ぶのか、そして僕たちがどのようにこの講座を運営しているのかについて説明しよう。 ても、その前に、バックグラウンドについて説明してから、これらの話を進めていこうと思う。 この講座では3Dプリンティングに関しても多くの時間を割くことになる。でも、これはこの講座で君たちが学ぶことのひとつでしかない。3Dプリンティングに関しては、みんな過剰な期待を寄せているみたいだが、道具の1つに過ぎないんだ。 君たちが、この講座で3Dプリンタを使う機会は最小限にとどまるだろう。最大限じゃないよ。3Dプリンタの成り立ちは1980年代に遡る。決して新しいものじゃない。光造形法を発明したのは Chuck Hullだ。これは、少しばかり速くなり、かなり安くなったが、何十年も前のテクノロジーなんだ。 さらに遡ると、1952年に、MITではじめてコンピュータ制御の製造装置が製作された。この写真はコンピュータで、防空システムプロジェクトの一部として開発されたものだった。そして、これはまさに世界初のリアルタイムのインタラクティブなコンピュータだった。 そして、コンピュータと機械を接続して、手加工では作れない部品を製造することが可能にする、というアイディアを具現化したんだ。ちなみに、これは航空機の部品を作るためのものだった。
【蛇足:僕はこう思ったっす】
3Dプリンタがここ数年で休息に広まったのは、ストラタシス社の特許が切れたことが大きかったようだ。
特許というのは、発明者の利益を守るために必要なものだったが、これからはそうとも限らないのではないか、と僕は思っている。前世紀の秩序のもと、僕らは生きなければならないとは限らないのだ。
じゃあ、どうするんだよって君はいうかもしれない。
その答えはオープンソースだ。
いや、そんなの答えにはなっていない、と反論したい気持ちは僕にもわかる。オープンソースで権利が守られるものか、と。
でも、僕が言いたいのはオープンソースだからこそICO(イニシャル・コイン・オファリング)を使うべきなんじゃないか、ということだ。権利を守る必要なんてないのかもしれない。こういう仕組みはそのうち使えるようになると僕は思っている。DAO(分散自律組織)の仕組みがもっと高度化しさえすれば。
そうなれば、特許が切れるのを待たずして、ものすごいインパクトのあるテクノロジーがもの凄い勢いで僕たちの生活に浸透してくるだろう。それって、すごく素晴らしいことじゃないか。
( つづく ) 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。
【蛇足:僕はこう思ったっす】の内容は、Fab Academyの講義から勝手に思ったことを書くコーナーです。なので、脱線して全く関係ないことが書いてあることもあります。