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Introduction §12. 今こそが歴史的な瞬間

コンピュータの歴史

かつてメインフレームを購入するには数百ドルのコストがかかった。その後、ミニコンピュータが出現した。

次にお見せする写真は歴史的に非常に重要だ。

この写真は Ken ThompsonDennis Ritchie が研究室にいるのを写した写真だ。彼らが Unix を開発していた頃のものだ。この時、現代のコンピュータが生まれたんだ。僕たちが今日使う、ワードプロセッサやビデオゲームを始めとするコンピュータを使ったモノはこの時点で生まれた。 この時、コンピュータの価格は100万ドルから1万ドルまで下落した。それでも、多くの人々にとっては大きすぎたし、高価すぎた。 しかし、一部の人は、これを使って研究することができた。 PDP はひとつのコンピュータをたくさんのラックを使って作っていたような製品だった。 でも、会社よりも小さくなったし、これが後のインターネットにつながってくる。 これが、インターネットの時代までの地図だ。そして、 Altair をはじめとするホビイストたちのためのコンピュータの時代がやってきた。

それらのコンピュータは全然便利じゃなかった。それをいじって遊ぶことはできたが、何も便利なことはできなかったんだ。でも、それらのコンピュータはパーソナルコンピュータの世代を熱狂の渦に飲み込んだ。こうやって、僕たちはPCを手に入れたんだ。

 

ファブリケーションの未来とのアナロジー そして、今現在、ファブリケーションを行う『メインフレーム』に相当するマシンは100万ドルのマシンだ。

君たちが今いるFabLabはちょうどミニコンピュータみたいな感じだ。ひとつのFabLabは10万ドルくらいで設立できる。 君たちはFab Labをマシンみたいなものだと考えてくれたら良い。データを持ってFab Labに行くと、君たちが何かを作ることで、『データ』が出力される。 機械を作り出す機械はホビイストのためのコンピュータみたいなものだ。まだFab Labを置き換えるような代物ではない。でも個人的に使うのには適している。この研究が進化すればスタートレックのレプリケータみたいになるだろう。

図. コンピュータの発展の歴史とデジタルファブリケーションの発展の予想図(Fab Academy 2018 Introductionのスライドより)

3Dプリンタはレプリケータじゃない。区別を理解しておこう。 IBMのPCは見た目よりもずっと深淵なものだ。単なるスイッチのある箱みたいに見えるけれどね。でも、この箱はあるシステムを作り出す。メモリシステムや、グラフィックシステムや、ストレージシステム、I/Oシステム。電源システムなんかをね。ミニコンピュータの状態から全てのシステムをひとつにまとめ上げられているんだ。 そして、まさにそのまんまの意味で、真のパーソナルファブリケータは全てのツールの代用となるだろう。 君たちの周りを見渡して見てほしい。君たちの周りにある機器ををひとつに統合したらどうなるだろう。それは、小さなレーザーカッターや小さな3Dプリンタではない。パーソナルファブリケータはこの何年にもわたる研究ロードマップの先にあるんだ。 でも、パーソナルファブリケータは完全なる機能をもつシステムを作ることを可能にしてくれる。たったひとつのプロセスでね。何年も先のことになるだろうけれども。

 

パーソナルファブリケータは出現しつつある でも、今僕たちは歴史的に大事な場面に差し掛かってきてる。どういうことかというと、インターネットはミニコンピュータの時代に発明されたってことを思い出してほしい。iPhoneがこの世に出現した後じゃない。それよりも何十年も前の話なんだ。 そして、それと同じように、今日、僕たちは、リアルなモノのインターネット的なモノの誕生に立ち会ってるんだ。Fab Labで君たちは完全なる機能を有したモノを作り出すことができる。Labにに材料を持ってきさえすればね。

機械を作り出す機械は、より速く、より安くなっていくだろう。でも、研究が終わるのを待つ必要なんかないよね。君たちはこの瞬間を生きているんだ。『インターネット』の誕生の瞬間をね。

現在、インターネットは革命みたいに見える。でも、歴史の長いスパンからみてみたら、それは『1』かもしれない。これから、それは、2,4,8という風にリニアなプロットになっていくだろう。すると、グラフ上では革命的な変化の最初には何も起こっていないように見える。

同じく、Fab Labは『1』でしかない。でも、グラフの点をどんどん加えていくと、10年で2倍になる。そう、君たちはデジタルファブリケーションの革命の時代に生きているんだ。 これは3つ目のデジタル革命だ。今日、それはデジタルデータを用いたデジタルファブリケーションを行うためにツールを使うことを意味している。でも、それは構造物の製造をコードとしてデジタル化しているとさえ言える。 この瞬間が、まさに、歴史的な『インターネットの誕生』の時だとしても、君たちが理解しておかないといけないのは、Fab Labの技術的なものゴールは、Fab Lab自身を時代遅れなモノにすることだ。 僕たちはFab Labを、Fab Labを作るためのものにしたい。ある種のメタプロジェクトだ。誰もがどこにいても何でも作ることができる。そしてどうやって君たちは生きて学んで働いて遊んでいくかを追求する場であってほしいと思っている。

つづく

講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。

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