top of page
  • ahedgehogchase

Introduction §14. たったひとりのためのマーケット

家庭にコンピュータが必要になる理由なんてない

ここで、話を戻そう。僕は君たちにコンピュータの黎明期からEメールの時代までの概略を示した。

図. TX-0 (MIT)

MITは TX-0 コンピュータを開発した。それは世界初のトランジスタ製のコンピュータだった。そして初期のコンピュータは digital社 によって PDP として製品化させるようになった。digitalはコンピュータを創り出し、それらのコンピュータはインターネットの世界を生み出すのに一役買った。

図. PDP-1 (digital equipment corporation)

図. Ken Olsenの言葉

この写真に写っているのはdigital社の創業者 Ken Olsen だ。彼の有名な言葉がある。それは「家庭にコンピュータが必要になる理由なんてない」というものだ。そして、digitalは倒産した。失敗したのは彼らだけではない。彼らが倒産したとき、 Data General社Prime Computer社WANG社 などのコンピュータ関連企業はボストン近郊のルート128沿いに集積していた。それらの企業は軒並み倒産した。どれだけ彼らがうまく経営していたかなんて関係ない、というくらいに彼らはことごとく失敗した。なぜなら彼らはコンピュータをパーソナルユースに用いるという衝撃的なやり方を採用しなかったからだ。彼らはパーソナルコンピュータなんか作っても、メインフレームやミニコンピュータに敵うはずもないと、たかを括っていた。

でも、ポイントとなるのは君たちは家でコンピュータを何かの目録を作成したり、給与明細を作るためには使わないよね、ってことだ。 それと同じように、何を作るために君たちは何かを作るマシンを所有することになるのだろう。デジタルファブリケーションを考える上でのポイントは単に君たちが店頭で買えるものを作れるようになる事じゃないってことだ。何を作るかっていうと、そりゃ店頭で買えないものだろう。たった1人の人間というマーケットに向けたプロダクトのはずだ。君たちはみんなが同じものを必要としているようなつまらないものを大量生産するのではなく、違うものを必要としている人達のため面白いプロダクトを製造するんだ。

つづく

講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。

閲覧数:12回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Lesson 13. 出力デバイス §4. LEDマトリックス

●LEDマトリックス 次に紹介するのはLEDマトリックスだ。 動作しているのを見てみると、ディスプレイの一部分が表示されているのが見えるだろ? 僕はディスプレイの一部分を用いてラスタリング(画像を色のついた格子状のドットで表現すること)を行なっているんだ。 ●Charlieplexing これは便利な技で、Charlieplexingと呼ばれる。 このLEDは大量購入すると6セント

Lesson 13. 出力デバイス §3. 調光LED

●調光LED さあ、ここから僕は多くのデバイスを紹介していこう。 最初に紹介するのは、色調を変化させることのできるLEDだ。色を周期的に変えることができるんだ。 これが、その部品だ。 この部品には赤と緑の、青のLEDが1つのパッケージに含まれている。大量購入すれば、40セントで買うことができる。これらはスタジアムとかにある巨大なディスプレイに用いられていて、これがスタジアムでは1ピク

Lesson 13. 出力デバイス §2. 電源

●電源 今回の課題のゴールはたくさんのバッテリーを使うことじゃない。モバイルにしなくちゃならない場合を除いてバッテリーを使うのはお勧めしない。一般的には各Labは各種電源を取り揃えているはずだ。 今から紹介するベンダーMARLIN P. JONES & ASSOC. INC.は数多くのベンチサプライ(電源)を取り扱っている。 きっと諸君はこれらの各種電源をプロジェクトに用いることになるだ

bottom of page