多様な目的を共有する場
いま、ここで僕たちがやっていることは明確ではない。つまり、いろんな目的があって然るべきということだ。
図. MIT-Fablab Norway
Hans Christianを例にとると、彼のやっていることは学校教育システムの横から支えることだ。彼は ノルウェーのHaakon(Haakon Karlsen)のLab で表面実装のリワークやマイクロコントローラのプログラミング、パラメトリックデザインのスキルを習得した。それらのスキルがあれば地元での就業機会を得るのは容易いことだ。
子供の教育に対する伝統的な答えは次の言葉に集約されている。「頭でっかちになるな。どこかに他の場所に行って実際にやってみよ!」 これを実践するために、Fab Labのはじめの数年間は、僕たちFab LabのメンバーにMITの僕の授業を受講してもらった。でも、Fab Labはあまりに大きくなりすぎた。だから、Fab Academyを創設したんだ。Fab Academyは分散しつつ、かつ隔たりがない。
MITがメインフレームならばFab Labはインターネット コンピュータで喩えると、MITがメインフレームみたいなものだ。君たちがMITに来れば君たちはプロセスを習得することができる。実際にそれはうまくいっている。最近聞いた話だが、ドイツとロシアの間で展開しているMITからスピンオフしたビジネスは合計すると世界で8番目の規模の経済になるという。 だから、この機能はものすごくうまく行っている。でも、これは、ほんの数千人の人たちのためのものだ。 オンライン講座をコンピュータ科学の歴史になぞらえて捉えると受講者たちは、中央にある「教育メインフレーム」に接続された端末みたいなものだ。
図. 教育メインフレームと教育インターネット
一方でFab Academyはインターネットのように機能する。君のまわりを見渡してみると、他の受講生がいると思うが、彼らは君たちの仲間だ。君たちはワークグループの中にいる。 君たちの住んでいる地域にFab Labがあって、そこを管理しているメンターがいるだろうけれども、僕たちはビデオを通じて君たちとグローバルネットワークで繋がることができる。そして、ヘッドハンティングしたりシェアしたりするんだ。
そして、教育のネットワーク、つまりインターネットは BITNET を打ち負かすだろう。なぜなら。メインフレームをインターネットに接続することは至難の技だからだ。 インターネット空間では誰が何をしても良い。インターネットが相互に情報交換な互換性を持ち合わせるように管理されているのにも関わらずね。同じような意味において、Fab Academyは教育ネットワークだ。それは分散型のネットワークだ。このサイクルでは75ほどのサイトが参加している。
図. Fablab Barcelona
Fab Labの成長とともに、ネットワークがとても大きくなり過ぎた。だから僕たちはツリーを構築した。これには多くの歳月がかかった。
AmsterdamやBarcelonaが良い例だ。彼らは数百万ドルの規模のLabになった。そして、国や地域ごとにロジスティクスやサプライチェーンのサポートを行うことができるようになった。 75のツリーがあって、そこでは個々のLabは国や地域ごとにグループ化されている。そして、さらにそれらのグループはグローバルにグループ化されグローバルなサプライチェーンとロジスティクスの機能を有する。 このことを鑑みると、この「教育インターネット」なるものは他のオンライン授業とはかなり異質なものだということが分かるね。 ( つづく ) 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。