球面調和関数法 さて、彼は南カリフォルニア大学の同僚、 Paul Debevec だ。彼はアカデミー賞を受賞した。ステージの照明の部門でね。これは映画の中で使われる特殊効果に関するもので、完全に合成したキャラクターを作るのに用いられた。そしてその技術は人物と物体両方のためにその効果を用いた。では、このクリップをお見せしよう。もう一度言うけれども、オフラインで見ることをオススメするよ。 これは最も先進的な光学スキャニングで、美しいプロジェクトだ。 彼がやろうとしていることはこんな感じだ。ビデオが再生されると、彼が物体を撮影しようとしている様子が映し出される。 彼は多くのカメラを準備している。そして、アームがあるのが分かるね。このアームからは球体状の光が照射される。 彼がやろうとしていることは、いわゆる 球面調和関数 ってやつだ。これは、全ての方向、全てのアングルからの光の一連の基準関数を設置しようとしている。そしてカメラは、異なる全てのビューを撮影する。 それから彼は単に幾何形状を取得しようとしているだけでなく、コンピュータグラフィックスを制作するのに必要な情報をすべて取得しようとしているんだ。つまり、彼は高さの情報をマッピングし、テクスチャの情報もマッピングし、そして表面状態、光の分散状態、表面下の光の分散状態の情報を得ようとしている。 彼がやろうとしていることは、完全な光の場の情報を取得することだ。つまり、彼はコンピュータグラフィックスにより、物体を再構築するのに必要な全ての情報を測定しているんだ。 これは、単に測定しているというよりも格段に先進的な取り組みだ。必要とされることは、拡散散乱と反射の塩梅を観察することだ。ここでは、同じ角度で反射して戻ってくる光と、別の角度に散乱した光、加えて幾何形状の情報を取得する。 彼はもっと多くの情報を得ている。つまり、これは最も先進的な3Dスキャニング手法であり、非常に興味深いプロジェクトだ。 僕たちが話ししていたのは、DIYライトステージについてだったね。 月並みな3Dスキャナでは、光沢のあるものはスキャンできない。光沢のある表面は、全ての角度で光を測定することにより、光が明後日の方向に散ってしまう。 実のところ、彼は光沢のある物体は光沢のない物体とは分けて測定した。 だから、それが意味することは、どんな種類の物体もスキャンすることは可能だってことだ。なぜなら、彼は完全なグラフィックのモデルを構築することができているからだ。 そして、これは全ての中で最も面白くてフレンドリーなスキャニング技術だ。
(つづく)
講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。