ウォータジェットカッタ
次に紹介するのは、僕が是非ともFab Labに導入したいと思っているものだ。今のところできてきないがね。 ウォータジェットカッタはエンドミルを使った切削加工機の代わりに、超音波とともに、水のジェットを用いる。これにはガーネットの研磨剤が含有されている。 このマシンの凄いところは、どんなに素材でも切断できることだ。レーザーカッタみたいだけれども、石とかガラスでも加工できるからね。 ひとつ問題があるとすれば、ウォータジェットはFab Labまるまるひとつ分のコストだってことだ。100,000ドル以上するってことだな。 そして、さらに問題を挙げるならば、とんでもないサプライチェーンがあるってことだ。君たちはガーネットの研磨剤を使用し続けなきゃならないし、庭の手入れをするみたいに、膨大なメンテナンスが必要になる。そして、そのためには専門家の手が本当に必要だ。 それでも、このマシンを買う余裕があるのであれば、これはとても面白いマシニングツールだ。
放電加工機(EDM) お次は、大型マシンのもう一つの例だ。 僕がお見せしているものは、ワイヤから放電して切断して作ったものだ。こいつを使えば、このワイヤは数千分の一インチの精度で加工することができる。 そして、かなり深く切断することができる。極端に硬い素材であっても、高精度で加工できるんだ。 切断するのには数時間かかる。でも、これは君たちが精度の高い部品を作るためにあるマシンだ。装置を組み立てる時に、ベンダーから買ってくるような類のものを作るようなものだ。 この夢のツールは、機械を作る装置の部品を製作するのに持ってこいだ。でも、これもまたコストがFab Labひとつか二つ分なんだ。 受講者:僕はが懸念している点は、実際に切断を行う際に、電極はどれほどの距離まで耐久性があるのかという点です。 電極は一回しか使えない。電極を交換せずに使い続けると、もはや公差を保証することはできない。だから、ワイヤは定期的に交換して、多くのワイヤを廃棄する必要がある。
●EDMの種類は2種類ある 受講者:なるほど。あと、僕が疑問に思っているのは、EDMを使って無作為に、あらゆる形状を作り出す場面っていうのはあるのでしょうか、って事ですね。僕のイメージでは、スタンプ見たいな感じで使うものなのかなと思っているんですけれども… EDMには2種類ある。今話題にしているのは、ワイヤEDMだ。一方で、カーボンの電極を切削して作ったものを用意して、電極全体を同調させて形状を作るというやり方もあるんだ。 受講者:分かりました。 他の受講者:昨年の最終課題で、ワイヤEDMを作っていた受講生がいたと思います。
そうだね。お見せしよう。機械を作る機械に関するプロジェクトは、Fab Labを作るFab Labの実現に導くものだ。だから、このことについて、のちの講義でもう少し詳しく話すことになるだろう。でも、その事について質問してくれたので、ここでちょっとだけ触れておこう。 そのプロジェクトは僕の研究室の学生によるもので、EDMを使ってEDMを製作するというものだ。これは、まだ完了していないが、一旦終了した。だが、彼は完了させるべく、今も取り組んでいる。 問題となったのは必要な公差をどのように得るかというところにある。彼はEDMを作るためにEDMを作ったんだ。EDMを作るにはブートストラップを作る必要があったんだ。 受講者:ありがとうございます。 君たちの多くは、今回の課題に取り組む上で、Shop Botを使う機会が多くある事だろう。
(つづく) 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。