top of page
  • ahedgehogchase

「自動化ツールの仮装装置制御のためのGestaltフレームワーク」を読む §2. パーソナルファブリケーションに関連する問題点

ツールを手に入れることの意義

僕は常々思っているのだけれども、オブジェクトを設計して製造するツールとテクニックを手に入れるってことは、生産手段という資本を手に入れることだ。資本があれば、僕たちは自由な経済活動をすることが可能となる。しかも、何かに縛られることなく、だ。そして、資本というものは本質的に、資産を増幅するものだ。 僕たちは資本を手に入れなければならない。それも、喫緊の課題だと思っている。なぜならば、僕たち人間は今にもお払い箱にされそうな境遇にあるからだ。つまり、AIやロボティクスの発展は、僕たちの生活を豊かにするだけでなく、「労働」を奪い去ろうとしているのだ。 でも、それはそのはずだ。今、「労働」の場を提供しているのは大資本だからだ。「労働」の場が与えられているものである以上、それはいつだって奪われる可能性を内包しているのだ。 だから、仕事が奪われないようにするためのたった1つの方法は、自分で仕事の場を提供することだ。そのためには、資本が必要になる。だから、設計や生産の手段の民主化というものは、この世界をより良くするためには必要不可欠なことだと認識している。 Ilan MoyerのGestaltは、そのようなツールの民主化に一役買っている。だから、僕はこのプロジェクトの詳細を見ていこうとしているのだ。 ※この論文が発表されてから、何年かが経過しているけれども、この論文を読み解くことは徒労には終わらないだろうと思う。もっと便利な方法は次々に出てくるだろうが、基本を押さえておいて損をすることはない。僕たちは常に巨人の肩に乗って生きているのだ。 序論1 (以下引用) コンピュータと製造は密接な関係にある。製品はコンピュータ制御ツールに送られる前にコンピュータ内の環境で設計され、テストされ、そしてデジタルに記述されたファイルは物理的なオブジェクトに変換される。 ソフトウェア開発ワークフローと最新のハードウェア開発との類似点は、オープンソースハードウェアアソシエーション(OSHWA、2013年)を拠り所としている点だ。この名称は、物理オブジェクトもソースコードとして始まるという考えを反映している。しかし、ソフトウェアとハ​​ードウェアとの間の1つの重要な違いはまだ残っている:あらゆる材料の中であらゆる形を表現することができる製造のためのUniversal Turing Machine1はまだ出現していない。(※1936年、Alan Turingは "On Computable Numbers"を発表した。これは、どんなアルゴリズムでも自然な結論に従うことができる計算機の概念モデルを開発した。チューリング完全という用語は、チューリングの機械と同じように完全に表現力のあるコンピュータ言語を表すのに使われる。)その代わりに、多種多様な製造プロセス、および自動化されたツールが、デザイナーつまり「モノのプログラマ」(著者はそのように見なしている)が、設定した形状や素材をパッチワークのようにして言語化したものを実行するのだ。 コンピュータとインターネットにアクセスできる人なら誰でもプログラマになることができる。表面的には、これはコードをカプセル化して再利用することができること、そしてアルゴリズムやプログラミング技術を共有することができることが容易であるためである。ただし、この機能の基盤となるのは、コードの作成、コンパイル、および実行のための共通のツールセットへのユニバーサルアクセスか可能である点だ。これはまさに1984年にRichard Stallmanによって始められたGNUプロジェクトのミッションであった。 そして、それはフリーでオープンソースのソフトウェア運動への道を切り開いたのであった。 製造装置とコンピュータの間の結びつきを強めることの大きな意義のひとつは、オブジェクトを設計し作り上げるためのツールとテクニックを民主化することだ。オブジェクトという用語は、ここでは可能な限り最も一般的な意味で使用され、機械的な人工物、回路、化学的および生物学的化合物などを含む、設計され物理的に存在するものすべてを含む。ただし、物理的な世界でデジタル設計されたオブジェクトを表現するために必要な、コンピューター制御のツールへの偏在的なアクセスのためのフレームワークはまだ完全ではない。 このニーズを満たすための1つの解決策は、コミュニティがさまざまな製造ツールを利用できるようにする共同ワークショップだ。このアプローチは、国際的なFabLabネットワーク(Gershenfeld、2012年)によって具体化されており、その関連ワークショップでは標準化された機器と材料のセットが提供されている。TechShop(Techshop、2013年)は、運動器具ではなく工作機械で満たされたジムのように機能する営利団体だ。この種の解決策は、いくつかの理由で不完全であることがわかった。 その1つは実用性だ。共同体の環境は知識の共有を容易にし、インスピレーションを提供することができるが、著者の経験では、彼らはしばしば彼ら自身のスタジオで働く個人によって与えられる考えや反省を発展させることができない。 もっと重要なのは、コミュニティショップで利用可能な機器は、ユーザが一般的に用いるもの選択されているということだ。一般的なツールというのはレーザーカッター、3Dプリンター、およびCNCミルなどのことだ。これらのツールは表現力豊かだけれども、利用可能なものを全てカバーするものではない。しかも、利用可能ということは、実際に用いることが可能である事と同義ではないのだ。

目次はこちらから→【和訳版】FabAcademy 2016

閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Lesson 13. 出力デバイス §4. LEDマトリックス

●LEDマトリックス 次に紹介するのはLEDマトリックスだ。 動作しているのを見てみると、ディスプレイの一部分が表示されているのが見えるだろ? 僕はディスプレイの一部分を用いてラスタリング(画像を色のついた格子状のドットで表現すること)を行なっているんだ。 ●Charlieplexing これは便利な技で、Charlieplexingと呼ばれる。 このLEDは大量購入すると6セント

Lesson 13. 出力デバイス §3. 調光LED

●調光LED さあ、ここから僕は多くのデバイスを紹介していこう。 最初に紹介するのは、色調を変化させることのできるLEDだ。色を周期的に変えることができるんだ。 これが、その部品だ。 この部品には赤と緑の、青のLEDが1つのパッケージに含まれている。大量購入すれば、40セントで買うことができる。これらはスタジアムとかにある巨大なディスプレイに用いられていて、これがスタジアムでは1ピク

Lesson 13. 出力デバイス §2. 電源

●電源 今回の課題のゴールはたくさんのバッテリーを使うことじゃない。モバイルにしなくちゃならない場合を除いてバッテリーを使うのはお勧めしない。一般的には各Labは各種電源を取り揃えているはずだ。 今から紹介するベンダーMARLIN P. JONES & ASSOC. INC.は数多くのベンチサプライ(電源)を取り扱っている。 きっと諸君はこれらの各種電源をプロジェクトに用いることになるだ

bottom of page