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「自動化ツールの仮装装置制御のためのGestaltフレームワーク」を読む §7. 仮想オブジェクト

コンピュータは物理的な世界よりも僕たちの脳に近い 産業革命前後から20世紀中盤まで、人類はもっぱら物理的な世界を扱う技術を磨いてきた。もちろん、コンピュータの原型となる技術も生まれてきていたのだろうけれども、それが表舞台に現れてくるのは20世紀半ばごろからだ。だから、それまでに産み出された装置は基本的に重労働の身体的な苦痛を和らげることはできるが、その操作には一定の習熟が必要だった。そして、その作業を高精度で行うためには、音や手触りなどの五感をフルに活用する必要があった。脳が処理しなければならない情報量は途方もない量だ。そして、そのような操作が可能な職人は匠と呼ばれ、現在でも非常に特殊で高精度な加工や行うことができるのは、そのような匠だけだという。 一方で、20世紀中盤から表舞台に出てきたデジタル加工機は、それまで匠が操作してきたツールと比較して、人間の脳にとって直接的な操作が可能だ。つまり、頭で考えたことを実現するために、あまり余計なことを考えることなくモノを作り出すことができるようになったのだ。 これは、Ilan Moyerに言わせれば、僕たちの脳と物理的な世界とのインピーダンス整合性よりも、脳とコンピュータのインピーダンス整合性が高いからに他ならない。だから、装置を物理的な存在として捉えるよりも、仮想マシンとして捉えた方が、僕たちは容易く扱うことができるということなのだろう。 (以下引用) 仮想オブジェクト ハンドツールと電動ハンドツールは、オブジェクトを「プログラミング」することに対する直接アプローチと呼ばれるものを具体化したものだ。ある種のタスクに対しては、自分たちの手でツールを使って直接問題を解決するのが一番良い。壁に釘を打って絵を掛けたり、木片に穴をあけたり、さらにはフライス盤で単純な長方形の形状を加工することでさえも、すべてこのようにして簡単に行うことができる。しかし、直接的なアプローチには多くの制限があり、それは僕たちの頭脳や身体の間のインピーダンスのミスマッチと目前の課題との間にしばしば起こる。位置決めピンの正確な配置、10,000個もの穴の正方形配列のような繰り返し、またはジェットエンジンのタービンブレードの表面のような複雑さのような高精度を含む形状の加工は、私たちの身体が容易に可能な作業ではない。私たちの手でそれらを製作するよりも、これらの機能を指定する方がはるかに簡単です。 「0.5インチの深さまで穴あけされた1インチの中心に1/4インチの穴からなる100×100の正方形の配列」は20秒で書き込まれるけれども、実行するにはさらに数桁の時間がかかる。 デザインの実現に精神的に悩まされるようになるという問題に対する一般的な解決策は、デザインを製造から切り離すことだ。この間接的なアプローチは、僕たちの知性にはるかによくマッチする、まったく新しいツールのセットを使って作業することを可能にする。(材料特性に関係なく)フォームの作成を早くすることを可能にし、間違いを訂正してもペナルティをかけず、形状や材料よりも母国語で意図を話すことができる。

概念的な素材に形を与えるという考えは新しいものではない。おそらくピラミッドの設計者は奴隷に行わせる作業を設定する前に、羊皮紙にこれらの素晴らしい構造を描いただろう。工学において、青写真は長い間、設計者が問題自体よりもむしろ問題の概念を操作するための媒体だった。最近では、技術革新により、本物の代役として仮想素材を操作するための新しいツールが提供されている。 CAD(Computer Aided Design)は、物理的なオブジェクトをプログラミングするための多数のツールを仮想的に表す包括的な用語だ。最も基本的な形式では、CADは、実際の物体を形作るために使用する物理的な道具に似た方法で、仮想材料を直接形作るためのツールセットを提供する。 たとえば、多くのメカニカルCADプログラムは、2D図面に基づいて3Dジオメトリを押し出しおよび切断するための仮想ツールを提供する。追加のツールは、エッジを丸め(コーナーなどを丸めるエンドミルが実生活で行うのと同じような操作だ)、2次元プロファイルを回転させて軸対称オブジェクトを作成し、任意のパスに沿ってプロファイルをスイープさせる。 CAD内の材料は、ほとんどの実際の材料とは違い完全に可鍛性がある。私たちはそれを押したり引いたり、ねじったり、曲げたり、実際の道具を使って形作ることができない幾何学を作成することさえできる。フィーチャのサイズと位置はほぼ無限の精度で指定できる。 CADの威力の源泉は何なのかと言うと、それは私たちの脳と物理的な世界の間よりも、僕たちの脳とコンピュータの間のインピーダンスの整合がはるかに近いことに由来している。僕たちは仮想の道具をコンピュータのマウスやスタイラス(そしておそらく将来的には僕たちの脳波)を使って操作する。飛行機と潜水艦は、ほんの数平方フィートの作業領域内を移動する手によって仮想的に構築されているのだ。

目次はこちらから→【和訳版】FabAcademy 2016

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