CADは煩雑さや面倒を取り除く
ガリレオ・ガリレイ以降、多くの科学者の研究の結果を通して物理的な世界についての理解は深まってきた。そして、それらは工学にも応用され、装置には物理学の知見がふんだんに用いられている。だから、実際の装置を読み解く際には、物理学的な知見を応用した工学的な観点から細部を理解することになる。この作業は、プログラマーがアセンブリ言語を読み解く作業に似ている。 けれども、装置の仕組みやアセンブリ言語を読み解くには、もちろん専門的な知識が必要になる。さらに、読み解くのではなく、それを実際に構築するとなると、もっとハードルは高くなる。だから、自分の意図を記述する際にはなるべく煩雑さを避け、面倒なことは無くしてしまうに越したことはない。そこでCADや高水準な言語の出番だ。これらは煩雑さや面倒を取り除くためのインピーダンス整合装置として機能するのだ。 CADでコンピュータと対話することの利点 （以下引用） コンピュータを使って仮想的にデザインすることの最大の利点は、実際のジオメトリよりも高いレベルでコンピュータと対話することができることだろう。このことを理解するために、まず基本的な計算機を考えよう。計算機は、長い乗算作業を続けることができるという意味でインピーダンス整合デバイスであり、それは答えを導き出すという面倒な作業を実行する。計算前後で同じ情報が存在するけれども、それでも事前に意味のある形式になっている。たとえば、卵1個あたり43セントの卵の価格が134個ある場合、その価格57.62ドルだ。しかし、数量とコストの観点から考えるのが簡単なだけでなく、計算の論理はまだ応用が利く。136個の卵が本当に欲しいと判断した場合にも応用できるのだ。 同様に、コンピュータ支援設計は、設計図用の製図台としてではなく、幾何学計算機として使用されることでより本領を発揮する。これを理解するための他の方法は、物理的プログラム（すなわちオブジェクト）とコンピュータプログラムとの間の類似性に関して考える方法が挙げられる。コンピュータプログラミングでは、「アセンブリ言語」は、コンピュータの動作を制御するために利用できる最も基本的であり、かつ人間が読める形式の命令セットだ。形状と材料の物理的な言語は現実世界のためのアセンブリ言語のようであり、物理学がどのようにオブジェクトを振る舞わせるかを指示するコマンドに相当する。どちらの場合でも、プログラミングを行うには機械の仕組みを深く理解することが必要だ。もちろんアセンブリ言語で直接プログラムすることは可能なのだけれども、高度な言語を使用することには多くの利点がある。それは、モジュール性と設計ロジックの取り込みを可能にしながら複雑さと面倒を取り除くという利点だ。 CADを幾何学計算機として使用することで、問題をどのように考えるのかということにより適した、より高水準の言語でオブジェクトをプログラムすることができるのだ。 （つづく） 引用：自動化ツールの仮装装置制御のためのゲジュタルトフレームワーク（Ilan Moyer）
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