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「自動化ツールの仮装装置制御のためのGestaltフレームワーク」を読む §11. 数値制御の誕生

思いやりは必要だけれども… 「設計図は思いやり」という言葉を僕は聞いたことがある。設計者が図面に記述したことは、職人が実際に製作する際に手がかりとなる。そして、設計者の意図を反映しようと思えば、意図を明確に記述しなければならない。つまり、読む相手が分かりやすいようにするための思いやりが必要というわけだ。このような言葉が聞かれるほど、設計者と生産者のコミュニケーションは重要なのだ。手を動かしてモノを作っていた時代は、その傾向はさらに強かったのではないだろうか。 しかし、実はそれって非効率なんじゃないの?ってバッサリ斬った奴が居たわけだ。それが、Joseph-Marie Jacquardだ。彼は職機の自動化を実現させた。それがジャカード職機だ。 彼は、「プログラミング→コンパイル→実行」という現在でも一般的なシーケンスを編み出した。1804年の出来事だ。今から200年以上も前の話なのだ。

※「設計は思いやり」という言葉にはもちろんユーザーへの思いやりも含まれている。けれども、ここは主に作り手同士の話にフォーカスした。 (以下引用) 数値制御 バーチャルツールを使ってバーチャルマテリアルを操作してバーチャルオブジェクトを作成することは、デザインをする上で非常に強力なパラダイムだ。それでも、これらの仮想オブジェクトを現実の世界で製造できない限り、プラクティス全体は重要ではない。設計者によって採用された最初のアプローチは、彼らの設計図と、オブジェクトを製作するのに必要な手動の道具との間のインピーダンス整合装置としての役割を果たすことだった。このようにして製造されたのが第二次世界大戦の航空機であり、さらに昔のフォードのモデルTだ。 そのアプローチにおいて、部品図は機械工たちに手渡された。このプロセスは、コミュニケーションの面でも実行の面でも非効率的だ。例えば、設計者が好む寸法は、機械工が必要とする寸法とは異なる。機能の大きさを決めるやり方は、デザイナーにとって重要な事柄に影響する。例えば長方形ブロックの角から2つの穴の寸法を決めることと、角に対してひとつの穴の寸法を決めて、穴同士の寸法に対して残りの穴の寸法を決めることとは意味合いがかなり異なる。前者は角に対する穴の絶対位置が重要であるのに対して、後者はそれらの間の距離がより重要なのだ。 しかし、機械工がオブジェクトを作成するときには、ツールをゼロにした場所に対する穴の位置を知る必要がある。この矛盾は誰か、つまり、デザイナーか機械工のどちらかによって翻訳されなければならないのだ。 他にもコミュニケーションと同じくらい重要な問題がある。それは手動で制御されるツールの問題 だ。精度、繰り返し、そして複雑さを達成することの難しさにより工程は遅くなり、場合によっては設計者の計画を現実のものにするための機械工の能力を制限してしまうこともあるだろう。 これらの製造上の困難に対する部分的な解決策の1つは、仮想設計から直接かつ自動的に駆動することができるツールである。最初に広く採用された自動化ツールは、1804年に特許を取得した、Joseph-Marie Jacquardの装飾織物織機だった(Essinger、2004年、P.37)。 織物は、縦糸と呼ばれる一連の縦糸の上または下に横糸と呼ばれる横糸を繰り返し通過させることによって織られる。パターンを織物に織り込むためには、横糸がそれらの間を通過するときにどの縦糸が上向きでありそしてどれが下向きであるかを制御することが必要である。ドロールームとして知られている、各スレッドの個々の制御を提供する最初の織機は、約200紀元前に中国で発明された(Essinger、2004、P.10)。ドロールームは織機の上に座って縦糸を選択的に持ち上げるために「ドローボーイ」を必要としたが、一方、ウィーバーは横糸を前後に往復させた。ジャカード織機は一連の打ち抜かれた紙カードの機械制御の下でたて糸を選択することによってドローボーイの仕事を自動化した。その結果、半数の人員で布地を24倍速く織ることができた(Essinger、2004、P.38)。 この論文で最も重要なことは、最初の自動化ツールとしてのジャカード織機の出現こそが、「デザイン→コンパイル→実行」という、現在どこにでもあるプロセスの誕生であったということだ。織られるパターンは最初に芸術家によって設計される。その次のステップは編集だ。つまり、デザインを機械の動きで表現し、それらの動きをパンチ紙のカードにエンコードするのだ。これは、基本的にパンチカードに簡単に転写可能な「mise en carte(下ごしらえ)」という方法を使用して、画像をピクセルグラフィックに変換することによって達成された(Essinger、2004、P.282)。その結果得られたプログラムは、織機を用いて美しい布のパターンを織り成した。 つづく 引用:自動化ツールの仮装装置制御のためのゲジュタルトフレームワーク(Ilan Moyer)

目次はこちらから→【和訳版】FabAcademy 2016

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