コルヌコピアとクリエイティブコモンズ クリス・アンダーソンの著書「MAKERS: 21世紀の産業革命が始まる」により、その存在が一般的に知られるようになった「メイカームーブメント」。メイカーのDIY精神は、コルヌコピア(豊穣の角)を機能させるために必要不可欠なものだ。つまり、コルヌコピアはオープンソースハードウェアでなければならず、クリエイティブコモンズとして公開されるべきものだということだ。 Peter Thielは「Zero To One 君はゼロから何を生み出せるか」で、プロプラエタリテクノロジーの重要性を説いた。隠された真実を見つけ出して独占せよ、というのだ。彼が言っていることは、勿論正しい。その目的が、ユニコーンスタートアップを築くためであれば、という限定付きだが。 オープンソースハードウェアという概念を支持する人間は、彼とは180度異なる視点から世界を見ている。テクノロジーは独占されるべきものではないし、遍く人々に恩恵をもたらすべきものだ。オープンソースハードウェアとは真逆の概念だと思われている特許という制度でさえも、その目的はテクノロジーの共有だ。しかし、技術を公開する見返りに、期限付きの独占を認めているのだ。 いずれにせよ、コルヌコピアがベーシックインカムを代替し得る存在となるには、それがオープンソースであることは必須なのだ。コルヌコピアを設計し、製作し、組み立て、使用するという一連のプロセスは、何者にも阻まれてはならない。 メイカームーブメント (以下引用) 「メイカームーブメント」っていう言葉は、Make Magazineによって産み出されたものだ(そういう名前をつけた方が都合が良かったのだ)。このラベルはパーソナルファブリケーションを中心とした社会的トレンドの成長を表している。これは、世界中で毎年開催されている一連の「メイカーフェア」によって支えられており、「メイカー」は自分の作品を共有するためのフォーラムを提供している。ある意味において、「メイカームーブメント」は、コンピュータベースのツールやデザイン、そしてそれらを構築するための情報への幅広くアクセスできることにより可能となったDIY精神に基づいている。サンフランシスコのサンマテオで開催された2012年のメイカーフェア(Make Magazine、2013)には、11万人を超える人々が参加し、この運動の文化的重要性が示された。 オープンソースハードウェア運動は、モジュール性と設計ロジックの共有を奨励するという点でオープンソースソフトウェアと哲学的に類似している物理的なオブジェクトを開発するアプローチを採用している。 Open Source Hardware Movementの重要な要素は、デザインがリリースされる際のライセンスだ。多くがCreative Commonsによって開発された。それはデザインの原作者の特定の権利を保護しながら他の人が彼らの作品の上に構築することを許可する。たとえば、「Creative Commons Attribution」ライセンスでは、「他の人があなたの作品を元の作品であると認めている限り、商業的であっても配布、リミックス、調整、構築することができる」(Creative Commons、2013)。オープンソースソフトウェアのようなオープンソースハードウェアは基本的に設計と構築のための共通のフレームワークに依存している。デジタルファイルのみが共有されるので、ファイルによって記述されたオブジェクトを誰が作成しているかにかかわらず、同じファイルが同じ出力をもたらすことを保証するためにはデジタル製作ツールを用いることが暗黙の了解となっている。 (つづく) 引用: 自動化ツールの仮装装置制御のためのゲジュタルトフレームワーク (Ilan Moyer) 目次はこちらから→ 【和訳版】FabAcademy 2016
「自動化ツールの仮装装置制御のためのGestaltフレームワーク」を読む §15. メイカームーブメント
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