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「自動化ツールの仮装装置制御のためのGestaltフレームワーク」を読む §17. コンピュータの拡張としての装置

コンピュータの拡張としてのコルヌコピア 装置の目的がインピーダンスを整合させることだと考えた時、装置とコンピュータとのやり取りが、装置と人間とのやり取りよりも重要になる。なぜならば、Ilan Moyerがすでに述べているように、人間の脳とコンピュータとの間のインピーダンス整合性は、人間の脳と物理的な装置との間のインピーダンス整合性よりもはるかに近いからだ。理想的には人間はコンピュータとのやり取りを最大限にして、たとえば印刷するためにプリンタをガチャガチャいじることは最小限にしたい。未だに僕たちはプリンタのインクや紙がなくなれば補充するし、紙が詰まれば詰まった紙を取り除く。こういう作業は極力無くしていくのが理想だ。それでも、こういった作業というのは毎回行うことではないだろう。現在のプリンタの在り方というのは、人間と装置の直接のやり取りを可能な限り最小限に留める構成になっているのだ。だから、普段プリンタを使う分には、僕たちはプリンタの存在にあまり気をとられることはないのだ。 他にも例えばマウスやキーボードなどというツールはコンピュータなしには全く意味をなさない。僕たちは、「僕は今マウスを使っている!」などとは意識していないだろう。意識しているのはコンピュータの中の画面だ。マウスはあくまでコンピュータの拡張として、そこにあるのだ。 僕たちがコルヌコピア(豊穣の角)について考える時も、この思想の範疇でユーザビリティを考えることになるだろう。コルヌコピアはコンピュータの拡張であるべきだ。コルヌコピアの存在を意識させないデザインが必要だ。僕たちはコンピュータの画面の中と、最終的に出力されたモノにだけ意識を向ければいい。そういう状態が理想だ。(もちろん、そういう次元に達するには途轍もない時間がかかるのだろうけれども)しかし、これがコルヌコピアへのアプローチの指針であるということは忘れてはならない。 コンピュータの拡張としての装置 (以下引用) 個人のニーズであったり、装置の制約もあるが、それ以外にも、個人メイカーががデジタルファブリケーションのツールにアプローチする際の流儀という、まったく別の問題がある。彼らの目標は、彼らが自分のスクリーン上にデザインしたオブジェクトを正確にに再現することだ。これは、原稿を書くのに何ヶ月も費やし、今すぐ自分のプリンタに送る準備ができている作家と非常によく似た状況だ。このようなツールの役割は素晴らしいものだ。これは、ツールに独自のオペレータがいて、部品のプログラムがオペレータによって生成されないという業界で採用されているものとはまったく異なるアプローチが採用されているのだ。 しかし、残念なことに、メーカー向けの低コストのデジタル製作ツールの多くは、その製造業と同じ哲学的アプローチを採用している。ツールの動きは、デザインファイルとは別に「コンパイル」され、Gコードと呼ばれる古くて制限が厳しい言語を使用してツールに送信される必要がある。それから、その動作を制御するために各ツールに固有のユーザインタフェースが存在する。 先に述べたことを繰り返すけれども、インピーダンス整合デバイスとしてのツールの役割は2つある。ツールは、僕たちが利用できる材料や素材の「言語」を広げ、素材の加工を簡単で楽しいものにする。デジタルファブリケーションツールは現在これらの基準に合格していない。現在利用可能なツールの種類はごくわずかであり、これらのツールのコストは依然として多くの個人の予算外だ。同時に、ユーザーインターフェースへの工業的アプローチの採用により、それらを所有しているユーザーにとってはアクセスしにくくなっている。ツールはコンピュータの拡張であるという見方をすると、ツールを設計する方法は完全に変わる。僕たちが自分自身のためにコンピュータの能力を拡張するためのコードを書くように、そして実際、そうする能力はますます基本的な読み書き能力の何かとして見られるようになっている。 マウス、キーボード、モニタ、スピーカー、マイク、カメラなど、コンピュータの他の多くのリソースと同様に、ツールにはWebブラウザからアクセスできる必要がある。これは、現代のユーザにとってより身近なツールインタフェースを可能にし、また、ブランドのツールではなくアプリケーションに共通のインタフェースを可能にするだろう。ブラウザアクセス可能なツールはまた、ブラウザベースの設計ツール、(部品と技術の)オンラインリポジトリ、そしてデジタル加工機の間のより合理化されたワークフロー を可能にするかもしれない。 コンピュータの拡張という観点から、ツールが持つもう1つの意味は、ユーザー作成のソフトウェアプログラムがツールと直接やり取りできるようになることです。これは、デザインがツールの移動という観点からアルゴリズム的に表現されている場合に特に重要です。このようなアルゴリズム設計の例は、図1のドラゴン曲線(Gardner、1967年)です。これは、40行のコード長の再帰的アルゴリズムによって生成された(ただし、実装の詳細を無視すると、アルゴリズムははるかに短くなる)。 図1:ドラゴンカーブ このドラゴンカーブを描いたプロッタは本論文で提示された枠組みによって制御された。ドラゴンカーブアルゴリズムは、プロッタの仮想マシンに直接関数呼び出しを行った。ツールのアルゴリズム的制御が用途を見いだす可能性がある別の分野は生物学研究である。多くの場合、生物学者が従うプロトコルは、面倒なピペッティングを数多く実施する必要があるけれども、これほ実際のところ短いPythonスクリプトとして簡単に表現できる単純なアルゴリズムだ。 (つづく) 引用: 自動化ツールの仮装装置制御のためのゲジュタルトフレームワーク (Ilan Moyer) 目次はこちらから→ 【和訳版】FabAcademy 2016

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