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Lesson. 12 型を用いた成形工法 §8. 型の切削

●型の切削

さて、ここから型について話しておこう。 今回の課題はマシニングを行って欲しい。君たちは型を3Dプリントすることだってできる。でも、僕は今回ツールパスに関する実習をして欲しい。 ●ラフカット(荒削り)とフィニッシュカット(仕上げ削り) ・ラフカット 切削加工を行う際、ラフカットというのは粗く削る。エンドミルは水平に動かす。エンドミルは材料を高速で除去する。 ・仕上げ削り 仕上げ削りは材料に沿って3軸の動作を最大限に用いる。そして削る量は少ない。 つまり、ラフカットでは粗く削り、仕上げ削りで表面を仕上げるんだ。

●ツールの特徴と型の形状 ここで、君たちには注意して欲しいことがある。 型を作るとき、ツールの特徴を意識して欲しいんだ。 ツールを保持するミーリングチャックがあり、その下にエンドミルのシャンクがある。 そして、下の方を見てみると、フルート(縦溝=刃)がある。ここが実際に材料を削るとことだ。これは切削の深さと一致する。 これらのツール上の点はどこでも君が作ろうとしている型と衝突する可能性がある。そして、初心者が犯すミスは肉厚の薄い構造に対して型を非常に深く設計してしまうことだ。 君たちには自分が使おうとしているツールの特徴を知るところから始めて、ツールを考慮しながら設計して欲しいんだ。 ・1/8インチ 取って置きのツールを紹介しよう。使ってみたまえ。これは1/8インチのエンドミルだ。1/8インチのエンドミルはジャンク系と同じだ。一般的にシャンクが何かと摩擦するような固定法はあまり感心しない。君たちはツールと固定すべきだが、1/8インチエンドミルのようなものを用いれば、摩擦は免れる。そのため、このエンドミルによって深い切削が可能となる。なぜならば、シャンクがツールの直径と合致したいるのだからね。 ・長いエンドミル 君たちは色んなタイプのエンドミルを手に入れることができる。もっと長いエンドミルとかね。でも、長いエンドミルは剛性が低くなる。 だから、このようなツールを用いた場合、マシニング加工中にたわみ始める。しかし、例えばそれはそのデザインに適切なサイズのツールである場合もあるので、今から使おうとしているツールがどのような物なのかを確認しておく必要がある。プロジェクトをデザインする際は、ツールに基づいて設計して欲しい。 ●ツールパスの計算 マシニングの課題の時に、僕たちはツールパスの計算について学んだ。しかし、その時に僕たちが行ったツールパスの計算は2Dのツールパスだった。 今回の課題の目標の1つは、材料に加えて加えて、完全なる3軸のツールパスの計算を行うことだ。 ●計算ツール ・Fusion360を用いる これを行うには君たちに選択肢のひとつを紹介しよう。それはFusion360のCAMとShopBotを用いる方法だ。これで切削することができる。非常にパワフルなソリューションだ。 ・FabModulesを用いる そして、これはFab Modulesを用いた場合も可能だ。Fab Modulesでは、ShopBot VCarveなどを用いるよりもコントロールする項目が少ない。しかし、もっと簡単に行うことができる。これらは君たちが必要とする基本的な項目をカバーしているが、全てのオプションがあるわけではない。 ●計算のシーケンス 今回の課題は単なるビットマップ画像を用いても行うことができる。高さ情報のマップに対応する色の濃さを用いることでね。 ●ビットマップ画像のツールパスの計算 そして、Fab Modulesはこのデータを読み込んで高さ情報のマップに変換する。そして型を作って成形することができるんだ。 (画像) ●3Dデザインからのツールパスの計算 しかし、今回の課題を進めるうえで、より良い方法は3Dデザインから作ることだ。シーケンスを説明しよう。僕はFab ModulesにSTLを読み込ませる。 (画像) これが読み込んだSTLだ。 (画像) 今、君たちが見てるのは単に僕がこれを回転させてる様子だ。 僕はマシニングしたい方向からの画面に切り替えようとしている。 そして、僕は今表示させている方向の上からマシニングを行いたい。 (画像)

ここで、僕はこれを高さのマップに投影しようとしている。そして、高さのマップの解像度を妥当な範囲で選択する。いくつかデフォルトがある。こちらはラフカット用のデフォルト設定だ。 自分のマシンを選択して、ツールの直径、切削深さ、切削時以外のツールの経路などの設定に移る。 もしもこのジョブを実行すると、ラフカットのツールパスが生成されたのがお分かりになるだろう。層になっていて、これに沿って材料を除去する。 そして、設定に戻ってフィニッシュカット(仕上げ)を選択してみよう。 フィニッシュカットでは、先端がフラット状かボール状のツールのどちらかを選択する必要がある。切削時以外の経路も設定しよう。 これらの項目について僕はもう少し話しておこう。ここで計算を実行してみるとしよう。 ここで、完全なる3軸の動作を作ってみよう。これにより仕上げ表面が得られる。これは、ラフカットで材料を除去するのには適していないやり方なのだけれども、これは最終的な表面を得るために行う工程だ。 計算が終わったね。(PCを見て) ラフカットはこのような見た目だ。(写真) これは小さな段がついたラフカットの例だ。 そして、こちらはフィニッシュカットの見た目を示している。(写真) フィニッシュカットは最終的に得られたスムーズな形状をしているね。 ●エンドミルの選択 ここで注意だ。 君たちはフラットエンドミルかボールエンドミルを用いることができる。 急速に切削するためのフラットエンドミル用とフィニッシュカット用のボールエンドミル用のデフォルト設定値がある。 しかし、完全なる3軸加工で切削を行うのであれば、フラットエンドミルはCAMと併用することで連続的な表面を作り出すことができる。これが、この使い方だ。 そういうわけで、君たちは滑らかな表面をフラットエンドミルを用いて作ることができる。 問題なのは、ボールエンドミルが滑らかな底面を作ることができないことだ。なぜならば、ボールエンドミルの先端が平坦でないからだ。一方でフラットエンドミルは3次元のツールパスを用いることで曲率のある表面を作ることができるんだ。 そういうわけで、ボールエンドミルは3軸加工において水平面の切削を行う際に、滑らかな表面を作るのには適していないが、幸いなことに君たちはフラットエンドミルを用いることができる。 ●ステップ そして、これは実験してみることができる。僕は3軸ツールパスを用いた仕上げ加工には同じエンドミルを使う癖がある。そして、フィニッシュカットのステップに関して言えば、各々のパス間で、どの程度動かすかが重要だ。 ステップが小さいとより精度の高い表面を得ることができるが、より多くの時間がかかる。そして、その範囲は数分から数時間にわたる。それは君たちが仕上げのステップに関してどれだけアグレッシブに設定するかによる。 ●試作の重要性 そして、再び言っておくが、僕ならばちょっとした試作を行うだろうね。切れ端なんかを削ってみて、カットの深さとステップオーバーなど型を作るのに必要な感覚を得る。

●製作例 では、ここで例を示そう。ここでお見せするのは底面の型の写真だ。 こちらの写真は上面の部品だ。 そして、こちらがこの型で整形した部品だ。 これは何かと言うと、物理学を楽しむプロジェクトとして僕はひっくり返る駒を作ってみたんだ。これが駒の上部なんだけれども、これを回すと上下がひっくり返る。物理学を楽しむための例として作ったんだ。 そして、ここでお見せするのは、いくつかの裏技についてだ。 ・フィラー 1つ目の裏技。僕は上部のシャフトをフィラーとして型の中に仕込んだ。ここにドライストーンをぶち込む。 ・通気孔 僕は小さなポートを設けた。型から空気を抜くためのそれは通気孔だ。 そうすると、型から取り出す際に、小さなつまみが立ち上がって出来上がるんだけれども、これは除去できる。 ・パーティングラインの場所 僕は上部の平坦な側の右側にパーティングラインを設けた。ここでは型の側面が合わさる。だから、君たちにはパーティングラインが見えないだろう。なぜならば、パーティングラインは肩のエッジそのものだからだ。 ・型の面を合わせる そして、僕が2つの型の面を合わせているのにお気づきだろうか?これはネストのようになる。単に位置合わせのピンで勘合させているだけじゃないんだ。型の面がほもう一方の型の面に合わさっている。そして、これが上下のラインとなる。 こうすることで、僕は素晴らしい部品をこの型の中で生成することができるってわけだ。 ・鋭利なコーナー部はなくす この例で僕がやらなかった間違った例を1つお話ししておこう。 それは、底の型を見てみると、鋭利なコーナー部があるよね。もしも、このような鋭いコーナー部のような形状を作っていたとしたら、応力集中が起こる。だから、その部分は非常に壊れやすい君たちにはそのような形状を埋めるということをやってほしい。そうすることにより荷重を分散させるんだ。 そうしなければ、その鋭利なコーナー部が容易に折れてしまうだろう。 つづく 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。

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