シミュレーション
次はシミュレーションだ。このリンクはMITのモデリングに必要な数学に関する講座に飛ぶようになっている。つまり、流体力学、機械力学、材料力学のモデルをどのように組み立てるかということについて書かれているんだ。このリンク先には、例えば微分方程式の解を得るための数学に関する膨大な資料が置いてある。例えばこれは、有限要素法に関する章だ。将来的にはFabAcademyの講座で取り上げたいと思っている。マルチフィジックスモデリングを用いれば、ひとつの特性だけでなく全ての物理的な現象をモデル化することができる。 Elmerはオープンソースのマルチフィジクス解析ツールだ。確かフィンランドで作られたものだったと思う。これを使いこなすのには骨が折れる。僕はこのプロジェクトが今も活発に進められているのかはよく知らない。だが、オープンソースのツールとしては僕が知る限り唯一のものだ。 COMSOLは商用ソフトウェアだが、素晴らしいマルチフィジクスモデリングツールだ。 それから、Fusion360や、SolidWorksにもシミュレーション機能があることにも触れておこう。Dassaultはハイエンドの商用のモデリングソフトウェアを開発していた企業をいくつか買収した。だから、SolidWorksのシミュレーション機能はパワフルなマルチフィジクスツールだと言って良い。これを使えば、流体力学のモデルから流路の構造を最適化するなどの操作が可能になる。本当にパワフルなモデリングツールだ。 SimuliaやAbaqusもCAD開発会社だが、彼らもまた買収によりハイエンドなシミュレーション機能を手に入れた。これはプロフェッショナル版だから、残念ながらFabAcademyでは使えない。だが、これらはSolidWorksのワークフロー上でモデルを構築するのに威力を発揮する。 繰り返しになるが、マルチフィジクス解析ツールは空気流れや、力、そして電界などのあらゆる物理現象をモデル化する。ANSYSやNastranは超ハイエンド商用パッケージだ。これらのソフトウェアを使いこなせるだけで、ひとつのキャリアになる。そのスキルは他の人からも必要とされているからだ。しかし、これらは非常に高価なものだ。
(つづく)
講義の目次は【和訳版】FabAcademy 2016からご覧ください。
※この記事はFabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。