真のデジタルプロセスを求めて
図. MITが開発した世界初のNC切削装置(1955年)
(Fab Academy 2018 Introductionのスライドより)
この切削加工機を制御するコンピュータは Norbert Weiner のラボで製作された。でも、それはデジタルじゃない。デザインはデジタルかもしれないが、プロセスとしては単に金属を削るというものだ。だから、本当にデジタルという呼称に合致したものではない。
(補足:コーディングすることでモノを生み出すことができないという意味で、「真のデジタル」ではないということ)
支配者は必要ない 研究に対して僕の興味を掻き立てるものは、全ての現代的なツールを比較して、子供にレゴブロックを与えるようなことをやることだ。君たちは、支配者を必要としない。幾何学的はパーツを組めばわかる。 レゴブロックというものは子供をより正しい道に導いてくれる。なぜなら、君たちは探求して正しい間違いを犯すことができるからだ。君たちは異質な物質からブロックを組み立てることができるんだ。君たちがレゴブロックをゴミ箱に捨てない限りはね。 それは、コードの特性を持っているし、 Shannon や Noyman が僕たちに教えてくれたことでもある。
図. ShannonとNoyman
(Fab Academy 2018 Introductionのスライドより)
でも、それは新しいアイディアなんかじゃない。実際、4億年の歴史があるんだ。 リボソーム のRNAに見られる進化のヒエラルキー型のモデルによれば、ね。
リボソームは蛋白質を作る蛋白質
これはリボソームだ。これは蛋白質をつくる蛋白質だ。そして、これはデジタルマシンとして作動する。そして、まさに君たちは分子マシンの塊みたいなもんだ。これによって、筋肉を動かしたり、匂いを嗅いだり、機械的に考えたりすることができる。
図. リボソーム
このマシンは約20のパーツから成る。そして、それは何の変哲も無いものから作られている。アミノ酸だ。そして、リボソームのコードはは君たちの身体のパーツを化学的な混合物の中から作り出す。エラーは1%だ。
リボソームでは1/10から1/4の確率でエラーが起きる。DNAの複製では1/10から1/8だ。 これは、コードが単に物事を記述するためのものではない理由だ。コードは物体になるんだ。
図. A hierarchical model for evolution of 23S ribosomal RNA (左)とアミノ酸(Fab Academy 2018 Introductionのスライドより)
【蛇足:僕はこう思ったっす】
思っていたより、イントロダクションが面白いじゃないか。リボソームが出てきてびっくりしたよ。確かに、リボソームはかつてドレクスラーが提唱したナノマシンに似ていて面白い。そして、デジタルファブリケーション4億年の歴史というのは浪漫があっていいね。
( つづく )
講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。 【蛇足:僕はこう思ったっす】の内容は、Fab Academyの講義から勝手に思ったことを書くコーナーです。なので、脱線して全く関係ないことが書いてあることもあります。