エンドミル
●表面コート もうひとつ思い浮かぶ疑問は、表面コートは何のためにあるのか、というものだ。 お金を少しかければ、セラミックコートされたツールを手に入れることができる。例えば窒化処理したようなものだ。セラミックによってツールの表面を格段に硬くすることができる。それにより、寿命を長くすることができる。 僕はだいたいこのツールを選択するようにしてきる。なぜなら、少しのコストを追加するだけで寿命を長くすることができるから、そうする価値があるんだ。
●エンドミル底面の溝の形状
ここで、他の特徴について説明しよう。またしても、ツールの底側から見てみよう。 溝が円の中央まで全て切ってあるものと、溝が円の真ん中までしかないものがあるね。後者はこんな感じに、全部溝が切られておらず、真ん中までしかない。
①溝が中央まで設けられていない形状 もしも、溝が真ん中まで来ていなければ、それは先端部の手入れが容易だ。でも、ツールを下の方向に移動することができない。なぜなら、ツール中央部には削るための刃が何もないからだ。
②溝が中央まで設けられている形状
もしも、中央部まで到達していたならば、そのツールを下の方向に移動させることができる。上側同様にね。なぜなら、 どの部分ででも切削することができるからだ。しかし、切り屑の除去は劣る。しかし、下方に移動させることができる。 しかし、下に移動させる必要のない場合、中央部まで溝が設けられていないものを選択すれば、このツールは切り屑除去の観点から優れている。
●エンドミルの溝の方向
そして次は今は横方向から見た話だ。 ここに、エンドミルがあるとしよう。 これは回転するが、これらにはこのように螺旋状に上に伸びる溝が設けられている。もしくは逆方向の螺旋状に伸びているものもある。
①アップカット(右ねじ方向の螺旋) つまり、溝が進む方向は2つの方向あるってことだね。もしも、溝がこのように右ねじ方向の螺旋状になっていたとするならば、これが意味することは、これは切断した材料を外側に排出しているってことだ。 そして、実際その構造は良い構造だ。なぜならば、君たちが切削する際に、このツールは削くずを引き込むことになるからだ。だから、これは切り屑の処理に優れた構造だ。しかし、表面の仕上がりは粗く(表側にバリができる)、その点は劣っている。なぜならば、表面を引き込み続けることになるからね。だから、粗い表面が得られる。
②ダウンカット(左ねじ方向の螺旋) もしも、これが押し付ける方向であれば、マシニングを始めるのが難しくなるだろう。何せ、切り屑を内側に押し込めるようなもんだからね。でも、最終的には全てを押し込めることになる。そして、綺麗な表面を得ることができる。でも、裏側は粗い表面になる。
③センターカット(上下逆方向の螺旋) また、センターカットのツールというものもある。センターカットツールには、下側は右ねじ方向の溝、上側は逆方向の溝が両方設けられている。そして、それらは中央部で合流する。 そして、これはしなやかな切削ツールだ。底面からは切り屑を引き上げ、表面からは切り屑を押し込む。 そして、チップの清掃に関しては酷いものだ。切り屑を全て中央に移動させるから、行き場がなくなるんだ。 でも、これが優れている点は、表面と裏面を綺麗に仕上げられることだ。 だから、作業の目的に応じて、アップカットか、ダウンカットかセンターカットを選択する。 受講者:もし、貫通させる必要があるのであれば、そのゴールは正しいですし、他の目的よりも優先されるってことですよね。
その通りだ。
(つづく) 講義の目次は 【和訳版】FabAcademy 2016 からご覧ください。 ※この記事は FabAcademy 2016 におけるニール・ガーシェンフェルド教授(MIT)による講義動画をもとに作成しました。正確な訳ではないので間違っていたら指摘いただけるとありがたいです。